第92話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(10)

 教授はにこにこしながら、ほんのちょっとだけ考え込むような表情を見せて、



「・・・本物かあ」



 驚くような、

 それでいて『正直信じられない』というニュアンスも出ている。無理もない。


 だって・・・「いきなり魔術、使います」・・・って言われて、ハイソウデスカっていくわけがないだろ?

 っていうモヤモヤを吹き飛ばすかのように、

「ねぇ! じゃあさ、あなたの魔術はどうやって発動するの?」

「魔術師は、発動する術式が『視える』のだ」

「興味深いわねぇ。さすがにわたしもリアル魔術師と会ったことがないので、『視える』の意味がピンと来ないけれど。『視える』とどうなるの?」


「・・・こうなる」

 突如、何も無い空間から・・・例の聖槍がクレオの手に現れた。


 さすがの教授も、表情を変える。

「・・・すごいわね。ふふっ、本物の魔術は現代理論物理を凌駕しているってわけね・・・現代的に言うと、『魔術を発動するモジュールが、脳内メモリにローディングされて実行』という感じかしらね」

 教授は組んでいた足を組み替え、通りがかりのスタッフに、コーヒーのおかわりを四人分オーダーする。

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