黒電話に願いを込めて


電話のダイヤルを回していき、

受話器に耳をすます。


これは死者と通話ができる、

不思議で不気味な黒電話。


もう一度その声を聴きたくて、

半ば泣きながら出るのを待つ。


待つ。

待つ。

待つ。


けれど声は聴こえず、

私は受話器を置く。


出ない。


ということは、

まだ生きているのだ。


口元は自然と弧を描いていた。

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