桜と狐


自分の腰くらいの狐に手を引かれ、

桜の花道を走り抜ける。


絶対に振り返るな

頭から食べられるぞ

こんなことは終わらせないと


雪のように真っ白な狐。

彼のよく吸う煙草の臭いが鼻に届く。


狐だったの?


訊いても答えてくれない。

安全な所まで来ると、

泣きそうな声で謝り、


俺のことは忘れろ


そうして私は……。

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