新たなる国!
私達、グリーンウッド一家は馬車に乗り、ジンさん達の数名の護衛は馬に乗って更に東の国を目指しました。ローズガーデンの国王様が言う通り、各領地の検問所などフリーパスで待たずに貴族専門通路から通ることが出来ました。
2日ほど移動すると、ついに国境にたどり着きました。
「ここの国境は帝国側より、城壁の高さが低いですね?」
「友好国と言っていたし、ここ数年はいざこざもないと言っていたから、ローズガーデンでは帝国に集中していた結果だね」
それでも、最低限の兵士は配備しているようだけどね。検問所の兵士に手形を見せると、早馬で知らせが来ていたのか、兵士の方が話し掛けてきました。
「これは英雄殿!この度はローズガーデンを救って頂きありがとうございました!」
ビシッと敬礼をする兵士に、苦笑いをしながらジンさんが答えた。
「すでに何度も国王様達から言われたよ。今後は自分達で祖国を守るんだな」
「ええ、無論です!それと、隣国へ行くのなら少し注意してください」
兵士の忠告に首を傾げた。
「隣国の亜人達の一部が人族を嫌っている話か?」
「いえ、それもありますが隣国では魔物の発生が増えておりまして、この国境にも何度か魔物が攻めてきました」
!?
「大丈夫だったのか?」
「はい、小規模のウルフハウンドの襲撃だったので城壁から弓矢で対応出来ました。どうやら隣国の『ジャガー王国』で魔物の間引きが追い付いていないようなのです。特にゴブリンが村を襲い、拐われている者もいるとか………」
!?
「なんだと!」
「ひっ!?」
突然、殺気を放ったジンに兵士は怯えた。
「カウス様!」
「うむ!急ぎジャガー王国へ向かうぞ!」
急に豹変した英雄一家に兵士は尋ねた。
「ど、どうなされましたか?」
「ゴブリンが現れたのだろう!急がねば手遅れになる!」
兵士は首を傾げた。ゴブリンと言えば魔物の中でも最弱の部類と認識していたからだ。
「あの弱いゴブリンですよ?」
「バカな!ゴブリンは最弱にして最強の魔物だぞ!ふざけるな!」
兵士はえっ?と間抜けな顔になった。
「最弱にして最強とはどういう…………」
「まさか、隣国ではゴブリンの認識は違うのか?あの恐ろしい魔物に対して知識が無さすぎる!」
お互いの知識に隔たりがあると感じてジンが簡単に説明した。
「我が領地ではゴブリンは最も危険な魔物として認識されています。何故ならゴブリンに拐われた女性は死ぬより辛い目に遭うからです。さらにゴブリンはバカだが間抜けじゃない。魔物の中でも知能があり、道具を使う。進化しやすい個体で、早い段階でホブゴブリンやゴブリンキングになると手が付けられなくなります。故に、我が領地ではゴブリンは見つけたら徹底的に駆除する事が義務付けられています」
「そんな…………」
兵士は今まで最弱と思っていたゴブリンがそんなに厄介な存在と認識していなかった。
「良かったら私の名前でローズガーデンの国王にも今の話を送って下さい」
「わ、分かりました!」
こうして、グリーンウッド家は隣国の最寄りの街へ急ぐのだった。
隣の検問所に着くと、人族もいたが獣人族が多く存在していた。
「止まれ!」
「何でしょうか?」
ジンは兵士に尋ねた。
「この手形は貴族の方かな?」
「ええ、そうですが?」
グリーンウッド家は『ユグドラ王国』の貴族で間違いない。
「だったら悪い事は言わない。引き返すが良い。現在、ジャガー王国では魔物が活性化して村や街を襲っている。恥ずかしい話、我が軍は対応しきれてないのが現状なのだ」
どうやらジャガー王国の兵士は心配して助言してくれているようだ。
「忠告、感謝する!しかし、大丈夫だ!」
ジンの自信に満ちた言葉にジャガー王国の兵士は気を付けてなと言って見送った。
「カウス様、万が一の時の為にいつでも武器を抜けるようにしておいて下さい」
「大丈夫だ。すでに準備している!」
自分の守るべき領主の言葉にジンは守りがいがないなと思うのだった。
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