守護精霊あらわる!

綺麗になった湖から綺麗な女性が現れました。


『貴女がこの毒の沼地を浄化してくれたのかしら?お名前を伺っても?』


私達はその神々しい気配に気圧されました。お兄様やたの小隊のメンバーも固まって動けません。


「は、はい!私はシオンと言います。偶然、毒の沼地も浄化が出来ないかと思いつき、今日1日浄化作業を行いました!」


『そうでしたか。感謝致します!私はこの辺りを守護する森の精霊ドリアードと申します』


!?


『この度は私の封印を解いて頂き、本当にありがとうございました』

「封印ですか?」


『ええ、かつてこの世界を混沌に陥れた邪神により、私は湖の底に封印されました。まさか、その湖を毒の沼地に変えて封印を強化されるとは思いませんでしたが。今回、シオンが湖を浄化し、聖なる魔力の纏ったこの杖が湖の底の封印に当たった事で出てくる事が出来ました』


おおっ!なんというミラクル!?


『まだ私の力は弱まっていて、余りお力にはなれませんが、せめてもの御礼にシオンに力を貸しましょう』


「本当ですか!?」


これだけの魔力を纏っていて、弱っているの!?


『シオン、手を出して下さい』


シオンは言われた通り手を出すとドリアードはシオンの手の甲にキスをすると、目映い光が立ち込めた。


「シオン!?」


腕で顔を隠しながら兄カストルが叫んだ。

すぐに光が収まると、シオンは大丈夫と答えた。


『驚かせてごめんなさい。でも、これで契約の手続きは終わりました』


「契約ですか?」


「ええ、これで私はシオンに加護を与える事が出来ます。そしてシオンと契約を結んだ事で、足りない魔力を補い、この周囲の魔物の力を抑える事が出来ます」


「それは凄い!兵士達の被害が減らせる!?」


お兄様は守護精霊ドリアードの力に驚いた。

契約をしたせいか、普通にドリアードの言葉が聞こえる。


「ドリアード様、ありがとうございます!これで兵士達の負担が減ります!」

「よかった。これから少しずつ、エリアを拡大して魔物達を弱体化させていきます。昔のように平和な森にしてみせますわ」


頼りになる守護精霊ドリアード様に頭を下げて、日も落ちてきたので帰りますか!


「ええ、では行きましょうか」


???


「えっ?付いてくるんですか?」

「えっ?ダメなのですか?」



いや、ダメじゃないけど?

意外な言葉にシオンは困ってしまったが、確かに外見が女性の精霊様を森に放って帰るのも気が引ける。


こうしてシオン達は一緒に帰還したのだった。


「お帰りなさい。あら?そこの精霊様はどなたかしら?」


おおっ!流石はお母様、一目でドリアード様の正体に気が付きましたね!


話が長くなるので、お父様のいる応接室で詳しい話をする事になりました。


「実は─」


かくかくしかじかという事情でして─

シオンは今日の出来事を伝えた。


「なんだと!?では、これから魔物達は弱体化していくのか?」


お父様が食い付きました。


「ええ、これで魔物の活性化も止まるはずです。元々、毒の沼地の瘴気に当てられて活性化していたので」

「なんと、そうだったのか…………」


お父様は何か考え出した。


「お父様?」

「あなたどうしたの?」


心配になった私達は声を掛けた。


「ん、ああ、すまない。魔物が弱体化したらうちの兵士達のみで対応できるのかな?と思ってな」


お父様の言葉に首を傾げた。


「兵士達のみと言うのはどういう事なのですか?まるで私達がいなくなるような言い方ですが………?」


「ああ、私はこの領地を守る為にずっと魔物を狩ってきた。だから還らずの森と、王都以外は行った事がないんだ」


ふむふむ?


「私は人間で、妻やお前達もエルフの血を引いているから長寿だろう?そろそろ私も他の地域を見て廻りたいと思ってな。妻であるスピカには新婚旅行も行かせてあげられなかったしな」


「あなた…………ぽっ♪」


お母様が真っ赤になって潤んだ目でお父様を見ています。この万年新婚夫婦がっ!?


ってか、お父様気付いてないの?

お父様の外見はとても若く、二十歳ぐらいしか見えないのですよ?金髪碧眼の王子様スタイルでイケメンです。お兄様と兄弟と言っても通用するのですが?


「…………お父様、知らないのですか?」

「何をだ?」


まさかと思い、お母様が説明しました。


「あなた、昔私の集落を助けて頂いた時に重症を負ったでしょう?その時、エルフの秘薬エリクサーを飲ませたのよ?だから、普通の人間よりは寿命がかなり伸びているのだけれど?言ったわよね?」


!?


「あれ?そうだったかな?」


まったく魔物を狩る以外はダメダメな父親である。


「では、少し様子をみて決めるしようか」


こうして、思いがけない出逢いで、お父様はこの土地から解放されるのであった。



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