クリスマス超即興ラップ

長月瓦礫

クリスマス超即興ラップ


倉庫の前で白いひげを蓄え、ふくよかな体型をした赤い服をまとった老人がムチを片手に、夜空をにらみつけていた。そりには大小さまざまなプレゼントが積まれ、リードにトナカイが何頭も繋がれている。


新型の感染症が流行ってからというもの、世界中で人が集まることを禁じられた。

一時期は感染者の減少がみられ、騒動も収まると思わていた。


しかし、感染者は増えては減りを繰り返し、コロナ騒動が収まる気配は見られない。

サンタの仕事の存続が危ぶまれたものの、世界中の子どもたちの応援とWHOによる後押しもあり、どうにか食いつなぐことができた。


毎年恒例のイベントではあるものの、ここまで緊張感があるのはいつ以来だろうか。

老人はムチを逆手に持ち、深呼吸をした。


「孤立無援のサンタクロース🎅🏻

頼れる仲間は 全員お陀仏😇

それでも届けたい この思い💌 このGift🎁


コロナウイルス んなもん知るかよ🙃

夜なべで逃げ越し 笑顔にしてやる😁


今こそ見せろ その勇姿💪 その勇気👍


夜駆けるその姿 マジSatan😈

闇照らすその姿 マジSanta🎅🏻 Yeah😆」


サンタは叫ぶ。トナカイの冷たい視線が痛い。

どうやらラップを解する脳みそを持っていないらしい。


「ぃよっしゃあ! かかって来いやァ!」


クリスマスは始まったばかりだ。

世界を股にかける戦いが今、始まる。


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