DQNな俺とcoolな妹

オッケーいなお

第1話 ヒーロー参上

22歳で実家暮らし、フリーター、ほぼ引きこもりの俺。

バイトは週2回のコンビニ。

その他は家にいる。


母「ちょっと!バイト増やすなり、正社員の仕事さがすなりしたらどう?」

俺「チィースッ」


俺は反抗はしない。

だって疲れるじゃないか。

そして俺は無駄に働かない。週2回のバイトも親の手前やってるだけで。

世間は俺をクズと呼ぶ。


それを聞くと俺は震える。

嬉しくて興奮する!

バイトをしてても唯一楽しい時がある。

この前お釣りで千円と一万円を間違えてお客に渡したら店長が、お前はバカだと。

これを聞けるのが幸せだ。

俺は人にバカにされるのに興奮を覚える変態体質である。

後は語尾にはだいたい「ッス」がつく。

その他は

Wi-Fiの電波は壁でぶつかってる

赤外線はあたると痛い

宇宙人は普通にそこら辺にいる

未来のネコ型ロボットはもうすぐできる

ちょいワルはモテる

コーラは骨がとける

などなどを真剣に信じて止まない。

俺はDQNである。


そんな俺にも夢がある。

ヒーローである。

悪者を倒して美女を救って、そして…

それも夢というよりは計画段階だ。

どんな計画かって?

キメのポーズのチョイス

キメのセリフ

ヒーローのファッション

ブルースリーのDVDを見る

など、など、超具体的だ。

来週くらいには計画を実行に移す為に大きめの駅に行く予定だ。


計画当日


駅に着いた俺は事件を探す。

だが中々事件らしい事は起きない。

人が多い街中、ヒーローだとバレない変装もバッチリだ。

誰が見てもヒーローだとは思わない。

完璧だ。


「あのー、ちょっといいですか?」


俺「俺?」


「ちょっとお話聞きたいんですが。」


俺「いや、ちょっとはなして…」


警察「そんな格好でどうしたんですか?」

俺「いや、ヒーローは隠してるから大丈夫っスよ。バレてないっスから。」

警察「君はなにを言ってるんだい?」

俺「いま、俺ヒーローに見えるんすか?」

警察「ヒーローにはねー。」

俺「じゃあ、セーフって事で!」

警察「セーフってより、アウトかな。」

俺「えっ!まじっスか!何処が!」

警察「君さ、何かぶってるの?」

俺「ブルマっす。顔隠すのに丁度いいっスから、バッチリっスよね!」

警察「ブルマはアウトだな。何処で買ったの?」

俺「妹のっス!」

警察「アウトだな。ないろんな意味で。」

俺「俺刑務所とか無理なんで。」

警察「今日は注意だけだよ。」

俺「じゃっ、チーっス!」

警察「いやいや、ブルマはさ。」

俺「いや、履けないっすよ。」

警察「じゃなくて、持って帰ろうよ。妹さんにちゃんと返すんだよ。」

俺「じゃ、チーっス!」


今日は邪魔が入ったから帰るか。

警察も俺がヒーローだったって知ったら


…警察「わー、ヒーロー様〜。」


などと俺にひれ伏すに違いない。

まっ、今日の所は多めにみるか。


母「あんた!なんだいっ、その格好は!」

俺「パトロール。」

母「は〜。」

妹「キモ兄貴、手に持ってるそれ…?」

俺「あ〜、これか?」

妹「あっ!!私のー!!!」


ドカッ

バチ バチ


妹「次私の部屋入ったら殺す!」

母「はぁー。」

俺「ウィースッ」


なんと気難しい家族だ。

親父が亡くなって女2人に俺という二等辺三角形だから仕方ない。

それより妹はなんであんなに暴力的なのか。

きっとあの性格だ。

彼氏もいなく欲求不満なんだろう。


店長「おいっ、コインケースは50枚って前に言っただろ!」

俺「イリュージョンっス!」

店長「はぁ〜?」

俺「1枚お得?的な。」

店長「こっちが1枚多いなら、どっかで1枚少ないんだぞ。」

俺「まさにイリュージョン!」

店長「あーっ、お前と話すと頭がおかしくなりそうだ。」

俺「あざーすっ!」

店長「褒めてない。」


また今日も怒られた。

幸せだなぁ。


「キャー」


コンビニからでたら女の悲鳴が。

すぐに行ってみる。

だが困った。

ヒーローの服がない。

木陰で敵からは見えないからこのまま出ないのもありか。

そんな事考えてたら、


「たすけてっ!」


ヤバい女に見つかった。

という事はつまり、


悪い奴1「ほー、誰だテメー!」

悪い奴2「やっちまうぞっ!あんっ!」


女「たすけて下さい!うわっ!ゲッ!」

俺「なっ、お前。」


悪い奴1「ふざけてんのかテメー!」

悪い奴2「ぞっ!!あんっ!」


もはや何を言ってるかわからない。

だが言われて気持ちいい。

こんな場面でも気持ちいい。

もっとくれ。

もっと!!


悪い奴1「テメー聞いてるのか?」

悪い奴2「ぶっ飛ばすぞっ!」


ヤバい。

顔がニヤけてくる。


悪い奴1「ニヤニヤしやがって!」

悪い奴2「キモイぞ!テメー!」

女「ホントキモいんだって!!」


ドカッ

バキ 


悪い奴1「お、おい。」

悪い奴2「そいつ助けてくれ…」


ドカ

バン ドカ ドカ


女「キモ兄貴とキモいワンツー、とっととうせろっ!」


悪い奴1「兄貴??妹?」

悪い奴2「お前さー、妹の教育ちゃんとしろよ!行くぞ!」


悪い奴は行っしまった。

なんだったのだ。

この場合俺はヒーローだったのか?

妹がヒーロー?

ヒーローとは簡単じゃない。

俺はそう思った。







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