7#‥魔石の使い道

 ここはサンバの街の宿屋。あれからリッツとタツキは買い物をすませ部屋に戻ってきていた。


 2人はテーブルに向かい合わせで座り、500ミリ入りの水筒のような容器の中に入った、炭酸の甘い飲み物を飲みながら話をしていた。


「それにしても。この世界にも、こんな飲み物があるんだな」


(前に、この世界に来た時には、こんな飲み物はなかった。んで、何でマリリンって名前なんだ?)


「前に本を読んでて、そこに書いてあったんだけど。確か異世界の者でクレイ……えっと、後の名前なんだったかな?が作りこの世界に残して行ったらしいよ」


「……まさか!?クレイ・ディオンじゃねぇよな?」


「あっ!そうそう。確かそんな名前だった気がする。ん?タツキ知り合いなの」


 そうリッツが言うとタツキは、はぁと息を漏らし頭を抱えた。


(アイツいつの間に……。てかよく作り方を知ってたな)


「そういえばタツキ。あの後アイテムの店で、石を買ったみたいだけど、何に使うの?」


「リッツは、この石が何なのか知らないのか?」


 そう言われリッツは首を横に振り、


「その石が魔石なのは知っているけど。ただ、その石で何を作るのかと思って」


「そうだな。思っていたよりも魔石の種類が豊富だった。……これだけあれば色々な物が作れる」


 そう言うとタツキは、バッグの中から魔石が入ったケースを取り出し、テーブルの上に置いた。そしてケースを開け、白と黄色と青の魔石を選ぶと、テーブルの上に並べた。


「とりあえず、いま必要な物を作りたい。それでリッツ、何がいいと思う?」


「ん〜、何がいいのかな?必要な物……そうだなぁ。何かあった時の為に、通信とかできる道具なんかあると便利だと思うけど」


「通信か……。確かにあるといいかもな。まぁ試しに作ってみるか」


「タツキ作れるの?」


「ああ、一応な!」


 そう言いタツキはメニュー画面を開き、もの作りスキルを選ぶと、空いてるアイコンにセットした。


 すると、もの作りに必要なレシピのメニューが画面に表示された。


 タツキはレシピメニューの中から通信ができるアイテム道具を3種類ピックアップした。


「リッツ。3種類、良さそうな物があった」


「3種類って、タツキ。えっと……本とかを見て作るんじゃないの?それにどうやって探したの?」


「あっ!そっか。お前には、メニュー画面がなかったな」


「メニュー画面?」


「メニュー画面とは、俺たちのような召喚された者にのみ備わっている」


「そうなんですね。でも、実際みえないからどんなものか分からないけど……すごい装置だって事は分かりました」


「そうか。……じゃどのタイプを作るか決めねぇとな」


 そう言いタツキはバッグの中から紙とペンを取り出し、レシピメニューから拾い上げ、3種類の通信アイテムの事を簡単に書き写した。



 一つ目は、筒状の物の上に魔石を設置し、その周りに装飾を施した物。


 二つ目は、腕輪に魔石をはめ込み、属性の龍の飾りを施した物。


 三つ目は、四角い箱状の物に魔石をはめ込んだ物。(飾りつけはお好みで!)



 書き終えると、タツキはその紙をリッツに見せた。


「……すごい!?どれも知らない物ばかりだ!でも、この中から一つ選ばないといけないんだよなぁ〜。ん〜悩む」


「そうだな。まぁこの中で今すぐにできそうな物は、このレシピをみる限り、道具が揃っている腕輪タイプと箱型タイプの2種類に絞られる」


「腕輪タイプと箱型かぁ。僕は見た目だけなら腕輪の方がいいけど。機能としては、どっちが優れているのかな?」


「優れているのは腕輪の方だが、魔力を大量に消費する。だが箱型の方は、魔力をさほど必要とせず、誰にでも使用できて使いやすい」


「そうなのかぁ。そうなると見た目はどうにでもなると思うし、魔力の事と使いやすさを考えると……箱型の方がいいかな」


「確かにその方がいいかもな。じゃ作る準備をしねぇとな」


 そう言いタツキは、もの作りキットを取りだす為、メニュー画面のプリセットから冒険者を選んだ。するとタツキの職と装備が変わった。


「えっと、着ている物が変わったみたいだけど。それって……」


「ああ、これか。ん〜なんて説明すればいい?異世界の者の中には、色々な職をマスターしている者がいる」


 一呼吸おき、


「そして職や装備など、プリセットという機能を使い、そこにセットしておく事が可能だ」


「うわ〜、すごいですね異世界の人って!」


「……そうか?まぁこれができるのは、俺たちの世界でも1部の者だけだがな」


「そうなんですね」


「ふぅ、じゅそろそろ作るか」


 そう言うとタツキはアイテムの中からもの作りキットを取り出し、テーブルの上に置くと準備を始めた。


 リッツはそれをワクワクしながら見ていた。

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