第71話53.ドワーフの娘。3


(´・ω・`)ふう…。




そうして、数日でお屋敷に付いた。

敷地に入ったのに未だ馬車に乗っている。

「おっきい…。」

裏手に廻り、馬車を降りると…。

ご領主様のお屋敷は凄く大きい。

コレは絶対に迷子になる…。

御者の人は荷卸しに掛かっている。

「あら、インゲ、又、貴女なの?」

呆れるダークエルフに白エルフが笑顔で答える。

「スパス・メイド長、お久しぶりです。また来ちゃいました…。」

丈の長いコートを着たメイド服の…、多分。

ダークエルフだ…。始めて見た。

若いエルフが挨拶する。

「カチャと申します。志願してきました。」

「若いのにねぇ…。」

う、何だろ、若いエルフを見るメイド長の視線が…。

「あの…。リンマと申します、オールワークスと聞いています。」

「ああ、そう。聴いてるわ。貴女はクーリョ・メイド副長の管轄だから。」

「はい!」

「とりあえず着替えて、部屋を案内するわ。」

案内されたリネン部屋で、困った事に成った。

「コレが一番小さなサイズなんだけど…。」

女中服がぶかぶかだ…。

袖が余っている、スカートは床を引き摺っている。

「あなたの服は作っておくけど…。数日掛かるわ…。その間はソレで何とかして。」

寸法を測るリネン部屋のメイドの人。

「あ、はい。」

エルフの人達は服を受け取ると何処かへ行ってしまった。

「ここに、うちの子が居るって。」

メイド服の銀髪の女の人が来た。

汎人で、メイド服のエプロンに胸飾りが付いて居る。

さっき聞いた副長の印だ。

「この子だよ…。困ったね。サイズが無いんだ…。」

「そう、仕方が無い。」

「あの、リンマと申します。」

「聞いてる、わたし達は雑務オールワークスで身体を動かす仕事。動ける姿で無いと困る。」

「はい!」

「じゃあ、みっともないけどこうしようじゃない。」

リネンの女中さんが帯で縛って長さを揃えてくれた。

「コレで邪魔にならないだろ?」

「はい!」

「じゃあ、付いて来て、仕事を教える、ココの私達の仕事は裏方で平常時は殆どが掃除。調理は専門の者が居る。でも応援を頼まれる下ごしらえ。」

「はい。」

廊下で副長の後を追いかける。

仕事は覚える事が多そう…。

「来客や、旦那さまの身の周りは専門のメイドが付いて居る…。制服が違うからすぐ解る。ココで見た事。聴いた事は誰にも喋らない。」

「はい。」

思わず、聞いています!と言うのを堪えた。

「そう…。先ずは場所を覚えて、毎回必ず新人は迷子になるの。鍵の掛かった部屋には入らない。」

「はい!」

「高い物が多いから、慎重に掃除する事。」

「はい…。あの高いって?」

「貴女の生涯賃金を軽く超える物。」

「え…。」

村の損害でココに来たのに…。

これ以上損失を出す訳には…。

「壊したら其の場で報告してね。直ぐなら治る。後で解ると凄く困る。」

振り向き、腰から下げた革の物入れに触れる副長。

あ、目が紅い。

「はい!!」

「じゃあ、みんなに紹介する。」

扉を開けるとメイドの人達が部屋掃除をしていた。

「はい、手を止める。新人のリンマ。良く教えて。」

「「「はーい。」」」「あら、可愛い」「ココは力仕事だから。」

「副長、ココはもうすぐ終わります。」

「そう、早い。お茶までにもう一部屋行ける?」

「はい。」「もう。」「今日は仕事が乗っているわー。」

「じゃあお願いする。早く上げてお茶にしよ。」

「「「はーい、クーリョ副長。」」」

掃除が終わって道具を持って、廊下をぞろぞろとメイドが歩く。

廊下から見える中庭には庭園テーブルで制服が違うメイド達がお茶をしていた…。

コートを脱いだメイドが…。

「うわ…。」

あんなに短いスカートで足を出して…。

「ああ、旦那様お付きのメイドね。」

「あたしもあの服見た時は驚いたわw」

「あの人達の仕事も大変なのよ…。」

「解ってるぅー。でも…。ね。」

「あんたじゃ相手にもされないわよ!」

笑うオールワークスのメイド達。

外ではコートを着て隠していた…。

あんな姿で外を歩くのは勇気が居る(中世の頃の感覚です。)

違うメイド服の人とは余り話はしない。

ココで見た事は外に漏らさない、仕事も詮索しない。

そう教えられた。

それ以外は女中の方々は親切にしてくれた。


ただ…。

「あっ!」

床が近づく…。

ダメ。

廊下にバケツの水が広がる。

「あーらら、またかい。」

「早く早く!雑巾。」

「申し訳ございません。」

メイド服が水浸しに成る…。

気持ち悪い。

「また解けたのかい?」

スカートを抑える帯が良く解けて…。

足で踏んで躓く。

スカートを絞って水をバケツに入れる。

皆が急いで廊下の水を拭きとっている。

「もー。ココは良いから着替えてきなさい。」

「は、はい!」

急いでリネン室に入ると…。

対応した女中さんは呆れた顔だった。

「またかい。」

「はい、申し訳ございません。」

「こまったわー。もうそのサイズは無いのよ?洗濯中。貴女、裸で過ごす?」

「え…。」

「まあ…。たぶんコレなら着れるわ。貴女でも。」

出されたメイド服は…。

ツーピースで…。

「これって…。」

「ご領主様付きのメイド服。それしかないわ。」

「うっ!副長に許可を貰ってきます。」

「廊下を濡らさないで…。ココでコレを着て行く。」

「え…。」

お母さん私に勇気を…。


ぶかぶかで袖口を折り返して。

何とか着たメイド服…。

短いスカートで膝が出てしまっている…。

すごいスース―する…。

お腹が冷えそう。

勇気を出してメイド長室のドアをノックする。

「入りなさい。」

声が掛かり中に入る。

「あら…。何その姿?転属した?」

うっ!スパス・メイド長だ…。

「許可してない。」

クーリョ副長の冷たい声…。

「実は…。」

事情を話す…。

呆れた顔が増える…。

うん、私のせいだ。

「仕方が無いわね。今日は旦那様は鉄道工事の視察で遠方よ。お見えに成らないわ。」

「そうね、仕方が無い、人目に付かない所で一人で仕事。」

席を立つクーリョ副長。

「コッチに来なさい。」

「はい。」

廊下を進み、重い扉の前に立ち…。

何処かから鍵を取り出し開ける副長。

「貴女はココの部屋の掃除。道具はソコ。」

「はい!」

部屋の中は石像や金物、壁に人物画が飾ってある。

うわ…。

「あの…。副長。この部屋の物って。」

「すごく高い。慎重に。」

えーー。

「はい。仕事。壊したら…。直ぐに報告。」

「はい…。解りました。」

コレは罰なんだろうな…。

はたきで石像から掛かる…。

上から埃を落としていく…。

そう聞いた。

黙々と仕事を進める…。

壺は雑巾で…。

しっかりと片手で押さえて雑巾で拭き上げる。

慎重に…。

慎重に…。



         (〆◎皿●´)アヘモン・センター!!



(´・ω・`)いきなりアヘモンセンター。(今回も書いてあるのでご安心ください。)

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