節分もくりすます

「今年の節分は2月2日だから今日が節分なんだぞくりすます」

「なるほど、クリスマスですね」

「メリー鬼は外!」

「メリークリスマス」

「乗ってこないか、さすがくりすますだな……」

「ところで豆はないんですか」

「残念ながら豆を買う金銭的余裕はないんだな」

「そうですか」

「まあ金銭的余裕がないっていうか精神的余裕がないっていうか、豆撒くのなんか勿体ないというか部屋とか周辺に豆が散らばるのも精神衛生上よくないっていうか」

「色々あるんですね」

「色々あるんだ」

 最近の豆は小包装のパックになっていてそれを撒いて後から回収すればいいと聞いたことはあるのだが、なんとなく抵抗があるのは俺が昔の人間だからだろうか。

 昔の人間と言ってもそこまで昔すぎる昔ではないのだが今どきの若者からすると確実に昔の人間だし、小包装の豆を撒くことに抵抗を感じるという時流に合わない精神を持っている以上それすなわち俺は昔の人間ということになって、

「クリスマスですよ」

「え」

「今日はクリスマス、そうでしょう――くん」

「……そうだな」

「うどんの付け合わせにする煮豆がありますよ」

「煮豆」

「作りました」

「お前料理できたっけ」

「内部データはありますよ。高性能なので」

「それはすごい」

「さ、うどんも作りましょう。夕食ですよ」

「そうだな」

 ■は外、くりすますと俺は内。

 外にいる何かが何なのかはわからないけれど、今はそれでいいと思った。

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