烏天狗は卵生らしい

ほくは空を見てどういう事なのかと首を傾げた。

(アヤカシだと男でも子供を生めるのかな?)


「アヤカシだと男でも生めるの?」

「いや、ごく一部のアヤカシだけだ」

「ごく一部、、、空の種族は生めるの?」

「生むというよりは、、、」

「空の種族、烏天狗の一族はほとんど男しか生まれない。本当にたまーに女の烏天狗が生まれる事があるみたいだけど、女の烏天狗は今は二人しか居ない」

「二人?」

「二人だけでも良いほうだぜ?居ない時の方が多いからな」


空が言葉をつまらせた後、海が説明してくれた。


「どうやって生まれるの?」

「空の一族は卵生だ。つまり卵から生まれてくる」

「卵?けど、空にはおへそが合ったよ?卵から生まれてくる生き物はおへそが無いって習ったんだけど」


空と親子になってこの家に来た時からお風呂はいつも一緒に入っているので空におへそがあるのは確認している。

その説明は陸がしてくれた。


「おへそがあるのは卵から生まれるだけじゃないからだと思うよ」

「けど、卵から生まれるって言ってたよ?」

「ほとんど卵から生まれるらしいけど、、、例えば、人間の女と烏天狗の男の間に生まれる子は人間と同じ様に生まれてくるみたいだよ」

「そうなんだ」

「それと、さっきの海兄さんの説明出来てない説明だと意味が分からないと思うからちゃんと説明するね?」

「うわ、酷くねぇ?」

「酷く無い」


どうやら陸はぼくに烏天狗がどうやって男しか居ないのに生まれてくるのかを教えてくれるらしい。


「烏天狗はほとんど男しか居ないからか男でも子供を作ることが出来る様になっているんだ」

「男同士の夫婦ってのが普通だからね」

「そう、陰が言う通り男同士の夫婦が普通だから会っても変に思わないでね」

「うん、分かった」

「それで、子供を、、、卵を作るには二つの気を混ぜ合わせる必要がある」

「気?」

「あー、、、妖気とか神気とかの気の事だよ」

「何となく分かった」

「それで、二つの気の一つは母体の方でお腹の中に卵を作り出して卵の中の体の構成が整ったら表に生み出す役目で母親の役割がこっちの方だよ。ここまでは分かる?」

「うん」

「じゃあ、続けるね。もう一つの気の父親の方の役目は自分と母体に成る方の二つの気を混ぜ合わせて母体のお腹にある卵の中の体の構成が整うまで慎重に二つの気を卵に送る事だよ」

「どのくらいで卵が出来て生まれてくるの?」


そう聞くと陸は少し考えてから答えてくれた。


「卵が母体のお腹の中に居るのがだいたい一ヶ月で表に出て来て生まれるまでがだいたい二ヶ月くらいかな?」

「全部で三ヶ月くらい?」

「そのくらいかな。それと、烏天狗と同じ様に性別が同じでも子供を作る事が出来るのが雪女とか神様類かな?他にも居るけど有名なのがこの種族だから覚えておいてね」

「うん」


説明が終わると海はぼくの隣に居る空を見て話した。


「で?俺の質問の答えは?さっきの様子を見るとお前が生んだわけじゃないみたいだけど、何処の誰に生ませたんだよ」

「はぁ、、、この子は確かにオレの子だがオレがこの子に初めて会ったのは一ヶ月前だぞ」

「へ?どういう事?」


空の兄弟達がみんな驚いた顔をした。

(何でそんなに驚いてるんだろう?)


「この子は一ヶ月前にオレが拐って来てオレの子にしたんだ」

「「「「え?、、、はぁ!?」」」」


みんな同じ顔をして驚いていた。

(まぁ、拐って来たって言ったら驚くよね)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る