第4話 違和感
ナナ「よしっ!」
タクヤ「凄い。上手くなった。」
ナナ「でしょ!」
タクヤ「1か月くらいやりこんだね。」
ナナちゃんが出てくるようになって1か月くらい経った。
もうあたりまえの毎日になっていた。
ナナ「次はどれに挑戦しよっかな?」
タクヤ「似たようなやつで、このぷよぷよしたブロックみたいなやつを同じ色に合わせて積み重ねて…」
ナナ「やるー!」
タクヤ「はい。」
ナナ「あっ、あれ?」
タクヤ「手の色そんな色だった?」
ナナ「なんか白っぽいな。今日。」
タクヤ「顔も熱ってるような?風邪?」
ナナ「風邪とかひくの?私?」
タクヤ「俺に聞かれても。はい、体温計。」
ナナ「熱とか普通に測れるのかな?」
タクヤ「今は三次元だからそういうの普通に大丈夫じゃない?」
ナナ「じゃあ測ってみる。」
ピピッ
ナナ「はいっ。」
ナナ「あっ、38度だって。」
タクヤ「熱あるじゃん。」
タクヤ「薬飲める?」
ナナ「うっ、苦い。」
ナナ「ありがとう。」
タクヤ「今日はもう帰った方がいいんじゃない?」
ナナ「どこに?」
タクヤ「どこにって。」
ナナ「あっ、私二次元住人だった。最近こっちに慣れすぎて、というか二次元の記憶あまりないからよくわからない。」
タクヤ「そっか。」
ナナ「それに1時間経つまで自分からは帰れないんだ。」
タクヤ「なんか不便だね。」
ナナ「そんな事ないよ。自分から帰りたいって思った事ないし。」
タクヤ「ゲームにハマってるしね。」
ナナ「そーそー。でもそれだけじゃないの。三次元好きだし。」
タクヤ「俺そっちわからないからさ。」
ナナ「だよね。私もわからないのに。」
タクヤ「これおでこにはりな。」
ナナ「うん。」
ペタン
ナナ「冷たい!」
タクヤ「熱さますシート」
ナナ「気持ち〜。」
ピコン ピコン
ナナ「今日は色々ごめんね。」
タクヤ「いや、なんも。」
ピピピピ
ナナ「またねー。」
タクヤ「うん。また。」
……。
ナナミャンのフィギュアに目がいった。
…これが、あのナナちゃんになるんだ。なんか信じられないなー。あっ!!
この瞬間全てが現実だったと実感した。
ナナミャンのフィギュアのおでこに、ちいさくてわかりにくいけど、確かに見える。
熱さますシートが。
……次に出てくる時もおでこにあれをはってるのかな〜?
そんな事考えながら今日も終わる。
いつのまにかこんな生活になった。
毎日が楽しく充実。
店長「ホントになんかなかった?」
タクヤ「なんでですか?」
店員「明るい。話し方?とか。」
タクヤ「変わらないですよー。」
店員「まさか!?」
タクヤ「えっ!?」
店員「お前、オタクなの知ってるけどついに二次元と結婚とかっ!?」
タクヤ「…オタクは否定しませんが、流石に結婚はしないですよ。」
店員「ならよかった。」
タクヤ「は〜。」
世間どころか身近な人もタクヤをそう見ている。いやそう見える。
地味な見た目に髪もボサボサ、イケメンからは程遠い。
今日も弁当を買って帰る。
最近は早く寝る準備をしてフィギュアを仰ぐのが楽しみである。
ピンポンパンポーン
ナナ「よっ!!」
タクヤ「熱は?」
ナナ「大丈夫っぽい。」
タクヤ「あれ?おでこ?」
ナナ「あっ、なんか三次元になる時とれたみたい。」
タクヤ「だって昨日フィギュアみたらおでこにシートはってて。」
ナナ「うわっ、恥ずかしい。」
タクヤ「お腹とかすかないの?」
ナナ「まっ、1時間の女だし。」
タクヤ「1時間の女って言ったらなんかかっこいいかも。」
ナナ「でしょ〜!」
タクヤ「全然アイドルっぽくないけど。」
ナナ「なっ!」
タクヤ「あっ、そうそう、プリン食べる?2個買ったんだ。」
ナナ「食べるー!」
タクヤ「どーぞ。」
ナナ「いただきまーす!」
ナナ「美味しー!!!」
タクヤ「普通のプリンだけど。」
ナナ「私はその普通を知らないの。」
タクヤ「あっ、そっか。」
ナナ「私もずっとこの世界にいられたらいいのになー。」
タクヤ「それは不可能なの?」
ナナ「だって私二次元だし。」
ナナ「今こうして三次元にいるのも不思議なくらいだしさ。」
タクヤ「そう言われたらそうだね。」
ナナ「今日出てくる時またお告げみたいなの聞こえて。」
タクヤ「えっ?なんて言ってたの?」
ナナ「私が出てくる時他にも出てくる場合があるから気をつけるようにって。」
タクヤ「他のメンバー?」
ナナ「悪しき者って。」
タクヤ「悪しき者?」
ナナ「ナナミャンの映画に出てくる悪者達?とかだと思う。」
タクヤ「映画に出てくる悪者って…」
ナナ「バカにしてるでしょ〜。」
タクヤ「いゃ〜、だってあれなら…」
ナナ「二次元だとね。あれが三次元に現れたらどう?」
タクヤ「怖いかも。」
ナナ「もしなんかあったら教えてね。」
タクヤ「その場合、解決法は?」
ナナ「倒すの!敵を!」
タクヤ「なんか想像できないけど、とりあえずわかった。」
ナナ「って事で今日もそろそろ…」
タクヤ「はい。ゲームね。」
ナナ「よーしっ!」
タクヤは楽しんでいる。
これから起こるであろう奇妙でなんとも恐ろしい出来事を知らずに。
しかし、その時は確実に近づいていた。
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