第7話 ストーカーの定義も曖昧
その日は、いつも通りの授業が行われていた。昨日の出来事が嘘のようだ。闇は、視線を幽一にむける。昨日のあの後、幽一は「まさか、我は無我を取得してしまったのか?」と訳の分からないことを言っていたので、昨日のことは何一つ覚えていないように思える。
しかし、問題なのは氷柱の存在であった。
あの後、氷柱の目は闇の心臓を突きさす位に鋭かった。昨日まで、「闇さ~ん」と好意を向けていたのが敵意に変わったことを闇は感じていた。正直、うっとうしい奴だったことには確かであったがここまで敵意をむき出しにされると、どこか寂しいものがあった。
学校に行っても、その冷ややかな視線が闇をまとわりつかせていた、闇たちは今、歴史の授業の時間であったが闇は、氷柱がじっとこちらを監視しているのが気になっていた。だが、反応すると厄介なことが起きるのではないかと思い放っておいた。
「はい、20XX年、主に軍事国家を狙った無差別で大々的なテロ事件を起こしたこの4人のことをなんと言うでしょうか、はい、氷柱、答えて。」歴史の時間、椿が担当の教科である。
その肝心の椿は昨日は何をしていたのか。目の下に大きなクマができており、目も死人のように虚ろである。そんな様子で問題をぶっきらぼうに氷柱に投げかけていた。
「先生、毎回私にあててませんか?」
「ん~?気のせいだ」椿がそう言うと、氷柱は諦めたように小さく「はぁ」と息を吐いた。
「『ゴッドハザード』あらゆる軍事国家を無差別に攻撃し、やがて軍事国家ではない国家全ても国民もろとも消えてしまう国もあった。これを見た人々は神の裁きだということで『ゴッドハザード』と呼んだ。中でも、軍事国家を狙い、国全体が一つの建物で埋め尽くしたとされる、その建物で殲滅することから『ワールドアパート』と呼ばれるものは、黒腕の特徴があった。他には、国を蟲に覆う程の災害をおこす『ワームハザード』、謎の病原体で無人国家にした『シックスハザード』、一瞬で国家を人々もろとも破壊した『オールド』この4人が『ゴッドハザード』と呼ばれています」教科書を見ると、4人位の人物が見えた。
がしかし、なかには人と言う原型を留めていないものもいた。そして、その4人は顔や外見はシルエットでほとんど見えなかったが、一人は、黒い腕をしていた。
闇は、昨日のことを思い出していた。昨日、幽一や自分に襲い掛かったのも同じ黒腕だった。
まさか、今、自分の中にある黒腕は今、授業でしている『ワールドアパート』なのではないか? と闇は感じた。
そして歴史の授業が終わり昼休み「闇さん、口を開けてください」
昼休みに、闇は登校途中に買ってきたおにぎりで昼をすませようとしていたがそれを見た鋭い目をした氷柱が「闇さん、まさかそれだけで昼ご飯を終わらせるつもりですか?」と近づいてきた。
「いや、昼はあんまり食欲がないからこんくらいがちょうど良いんだよ」と闇が言うと、氷柱は風呂敷を手に持って「いえ、そのような訳にはいきません。私は風紀委員として、あなたのともだ、いえ、運命を共に歩むものとして、おにぎり一つで終わらせるあなたを許すわけにはいきません」と大仰なことを言って詰め寄って来る。その言葉で、まわりから(あの二人、どういう関係?)と言うような声が広がった。
「近えよ、ていうか誤解する言い方するな」
「誤解する言い方? まさか貴方、先ほどの言葉で私たちが一つ屋根の下で、過ごし、最期の時も一緒に迎えるなどと言う妄想をしたのですか? 全く、いやらしい」そう言って、頬を紅潮させながら、そっぽを向く。周りから(え? やっぱり、あの二人、そう言う関係なの!?)と言うざわめきがますます大きくなる。
「いや、いやらしいのはお前だろ、ていうかそんな妄想、もう二度とすんじゃねぇ、次、いったら、お前の顔を握りつぶす」と言うと氷柱は「まあそれは恐ろしい、私の大事なものを握りつぶすなんて」とまた誤解されるようなことを言って顔を近づけた。その目は氷のように冷たかったが、ほんのわずかに光が宿っていた。
「ともかく、私は貴方の健康を管理する義務があるのです」
「じゃあ、どうすりゃ良いんだよ」そう言うと、氷柱はずっと耳に顔を近づけて「実は、わたくし、今日、貴方にお弁当を作ってきました、一緒に食べましょう、あなたに拒否権はありません」と無理矢理な誘いをした。
「断る」で断ったはずなのに、なぜか机をくっつけてきて、一緒に弁当を食べている。
そして、作ってきた弁当のなかのミニハンバーグを箸でもって「闇さん、口を開けてください」と食べさせようとしている状況である。
中々口を開けない闇を見て「どうしたんですか、闇さん、口を開けること、その程度のこと、赤子でもできることですのにできないのですか?」と挑発をしてきた。
闇は「だから、食べないって言っているだろ、氷柱」と言った。
すると、氷柱が目を真ん丸にして硬直する。
「あ? 何だ?」と聞くと、氷柱は口を手で押さえて、サクランボのように頬を赤らめて
「いきなりファーストネームを言うなんて、なんていやらしいのかしら」
「名前呼んだだけで、何でそんな反応になるんだよ」と闇が呆れていると「ま、まあいいわ、貴方が私の名前を呼びたければ好きにすると良いわ。それ以上のことは、まだ」と相も変わらず妄想のお花畑をまき散らす氷柱を無視して、闇はおにぎりを食べて「ごちそうさま」と言って、机から去って行った。
「ま、まちなさい、話はまだ終わってませんよ」と言う氷柱を無視して、闇はそのまま教室から出て行った。闇が立ち去った後、『氷柱、氷柱、風紀委員会室に来て』と氷柱の頭の中で交差が呼ぶ声がした。
氷柱が風紀委員に入ると、そこには栗色の青いペストマスクをしたショートボブカットの女子生徒がいた。ネームプレートには『魔笛交差』と書いてあった。
「やぁ、突然呼び出して悪いねってずいぶん機嫌の悪い顔をしているね」
「まあ、闇さんの監視が中々うまくいかなくて、全く初めての友達が出来たとういうのに」初めての友人って、と交差が戸惑っていると「ですが、こちらも『特殊警察課』の人間ですので仕方がありません。それより、今日は何ですか?」
「ああ、今回は『DALLS』の行方についての調査だ」
「『DALLS』ですか」
『DALLS』ゴッドハザードが起こった後に、そのゴッドハザードに対抗する手段として、
あらゆる大企業、『光条グループ』『竜神グループ』などが自身の技術を使い、ドラゴン型、男型、獣型、鉱物型、など、様々な種類のサイボーグを作り出し実験と言う名の戦争を行った。
そして、出てきた結果は、サイボーグとして一番優秀なのは女性型だという結論に落ち着いた。そして、その女性型の選ばれたサイボーグを『DALLS』と称されている。『DALLS』はそれぞれ、特殊能力を持っている。その能力がゴッドハザードの対策となっている。
だが、『DALLS』実験が終わった直後、すべて行方不明となった。何人かの自分たちを作った研究者たちの命を奪って。
そこで、この特殊警察課は彼女たち『DALLS』の捕獲を依頼されている。
「その『DALLS』の行方が分かったと言うのですか?」と氷柱が質問すると、交差は小さく頷く。「これを見てほしい」と交差は言って、パワーポイントを開いた。
そこには『浅野 隆』『早坂 好』『川原 大樹』と三本の試験官が載っていた。
「これは?」氷柱が尋ねると、交差はパワーポイントの前に来て説明した。
「これは昨夜で起きた、殺人事件だ、被害者はこの三人、この三人は行方不明者として調査をすすめていて、西京橋、すぐ近くの橋で動物の虐待をいつもしていると言う情報が入った。そこで、我々が、DNAに反応する『DNAチューナー』を持って調査したところ水たまりに反応した。三人は殺されて、水に変えられていた、私たちの調査での結論だ」
「なるほど、たしか『DALLS』の中に、切断したものを全て水に変えて操ることができる能力の方がいらっしゃいましたね、『DALLS NO・3』」
「おねえちゃん、危ないよ!!」少女は、木から降りられなくなっている猫を助けようとしている、スカートからパンツが丸見えになっている無表情で生気が無い少女に小学生の男子が声をかける。周りには男子もいて女子は目隠しをしていた。
「いえ、大丈夫です」セーラー服の女は相も変わらず無表情で答える。
そして、ニャー、ニャ!! 突然、ネコが木から落ちた。女は何も言わずに木から飛び出す。そして、ネコを胸に抱きしめて地面に降り立った。
「おねえちゃん、ありがとう」と子どもたちは女にかけよる。
「いえ、これくらい大したことじゃない」と言って、猫をみる。
「あなたも、気を付けてください」そう言って女は猫を腕から降ろす。
ニャーと、鳴きながら女を見る。その時、女の瞳に僅かに光が浮かんだ。優しく、優しく猫を撫でた。少女は、初めて猫を見たことを思い出した。今の自分の表情はどうなのだろうか? と少女は虚ろな目をして考えた。そして、目を瞑った。
放課後、闇は学校の帰りで西京橋の近くを通っていた。
昨日のあの黒腕はなんだったんだ。間違いなく私の手の中に入り込んだ。けど、今の所なんの変化もない。闇はそう思いながら自分の右腕を見た。
「ところで、何でお前までいるんだよ」闇の横には、至近距離で目が充血するくらい闇の右手を見つめている氷柱がいた。
「これは、当然、風紀委員として、特殊警察課として、そして、友達として、あなたの右腕を監視する必要があります」冷たい表情をしながらも友達と言う時に恍惚な表情をしたのが闇は気持ち悪いと思った。
「あ、あと」と氷柱は突然自分の右腕に何か腕輪のような物をつけた。
「おい、これは何だ?」と闇が聞くと「守秘義務なので」と氷柱は言葉を濁した。
「ところで」そう言って、氷柱は闇に言葉を発することを許さず顔を近づける。
「闇さん、貴方、食事を夜カップラーメンで済ますのは少々健康によくないかと」
「ちょっと待て、なぜお前、そんなことを知っている?」と闇が聞くと、氷柱は自分の胸に手を当てて「当然です、私、言いましたよ、貴方のことを24時間、永遠に監視すると」
「ちょっとまて、それって、お前、まさか家にずっといたのか!?」
「はい、当然です」
セーラー服の死んだ魚よりも黒い目をした少女は西京橋の下で釣りをしていた。その時、体の中からのレーダーが反応した。
この反応は、いる、近くに、『ゴッドハザード』を起こした人物が。直後、その少女の真っ黒な瞳の中で思い浮かべたものは自分たちを作りだした研究者や訓練の軍人が言った言葉であった「お前らは、『ゴッドハザード』対策としての完成品だ!! きたる日に備えて機能を進化させ続けろ!! お前らは、何も考えなくていい『ゴッドハザード』を殺すため、それだけを考え続けろ!! それが、お前たちの生きている意味だ!!!」と研究所にいた頃の言葉を思い出す。
生きている意味か。少女はやがて重い腰を上げて、レーダーが反応する方向に足を運んだ。
「お前、それ住居侵入罪、ストーカーじゃ」
「いいえ、これは立派な調査です」
「お前、調査って言えば何でもなると思ってないか」と言って闇は氷柱の胸倉を掴む。掴まれた時に少し緊張した顔をしたが、すぐに冷静な顔に戻って言った。
「なんですか? そうやって私の衣服を剥いで、獣のように襲うつもりですか? 変態」
凍てつく視線で罵倒するものの最後の言葉に闇は反応する。
「変態はお前だろうが!!」
その時、バッと鞄の中から何枚かの写真がばらまかれた。
「ん? なんだ、これ」見ると、そこには、たくさんの闇の写真があった。学校から帰ってきた後、制服を脱ぎ捨てる姿、お風呂、パジャマ、就寝時、様々な時の様々な写真があった。
「お前、これ」
「必要なことなので」
と表情一つ変えずに言う氷柱の顔面に爪を立てようかと思った時
「ねぇ、あなた、もしかして、ゴッドハザードの1人?」
バッ
2人が同時に声をした方向をみるとそこには、死んだ魚よりも闇よりも真っ黒な目をしたセーラー風の少女がたっていた。
なんだ、こいつは『ゴッドハザード』ってこの右腕のことか?それにしても、ゴッドハザードって授業でも聞いたことがある。まさか、この黒腕は、ゴッドハザードを起こした張本人の腕だって言うのか?と闇は疑問に思った。
氷柱は少女の足に『3』と言う数字があるのを見て目を細めた。
「彼女は、たぶん『DALLS』の一人です。」
「DALLS?」
「ええ、『DALLS』とは、対ゴッドハザードや戦争に対応するためにつくられ、重ね重ねの実験、試験と言う名の戦争の結果、選ばれたサイボーグ精鋭隊NO10までいます。まさか、こんなところで遭遇するとは」DALLSと呼ばれたセーラー服の女は髪を振りながら闇たちの方に刀を向けた。
「そうね、そのサイドテールの彼女が言った通り私は『DALLS』ゴッドハザードに対抗する、言わば兵器、そして、それが私の生きる意味」
(それが私の生きる意味?)
セーラー服の少女は少し気がかりなことがあり、立ちすくんでいた。ゴッドハザードを起こした本人がそこにいる黒い髪をした彼女であることは間違いない。
しかし、反応がうすいのだ、右腕にしか反応がない。しかし、右腕には、強力な生命体が蠢いているのである。「ねぇ、貴方、その右腕の移植でもしたの?」少女はそう聞いた。
氷柱はやはり、この右腕には、闇とは別の生命体があると確信した。闇の体にくっついている形となっていることを確信した。
「まぁ、良いわ、とりあえず、なんとなくだけど貴方がゴッドハザードを起こした張本人でないことは分かったわ、でも」その瞬間、少女は、瞬く間に刀を抜き出し、「でも、その右腕は危険ね、幸い肩に近い部分にまでには近づいていないしあとで修復もするから、切り取らせてもらうから」
『現状凍結!!!(コレクターコール)』少女が切り取ろうとすると、氷柱は能力を使い、少女の足元を凍らせようとした、しかし、それよりもはやく少女は、身をひき橋の下に移動して間合いをとった。
「なるほど、能力者がいましたか。」
「闇さん、あなたは先に学校に行ってください、ここはわたくしが引き止めます。」
氷柱が止めたが闇は逆に前にでた。
「闇さん!?どういうつもりで」
「いや、どうやらこいつは私に用がある。だから、氷柱、お前が先に学校に行ってくれ」
「貴方、何を言っているのですか!?」
「大丈夫だ、こう見えても戦闘経験はある。それに、この右腕のこと知れるかもしれないしな。それに」
そう言うと、闇は、死んだ魚よりも真っ黒な瞳をした少女の目を見て言った。
「あいつには、言いたいことがあるんだ」
そう言うと、闇はいきなり橋の下におりて、セーラー服の彼女に接近した。
いきなり、接近ですか・・・・・愚かな。セーラー服の彼女は刀を振り上げたが、その直後闇は足を止め、バックステップをした。
フェイント!? 振り下ろした刀は、闇のわずか、右脇腹の制服をかすめた。
「ふーん、大体刀の間合いはその位か」闇はニヤリと笑い、刀を持っている手をガッとつかみ「っせーの!!」ガンッ!! と頭から火花が飛び散るほど威力が強い頭突きを食らわせた。
その様子をみていた氷柱は、少なくとも闇は戦闘慣れしていることを悟った。しかし同時に何故彼女に戦闘経験があるのか疑問に思った。
「交差、聞こえますか?」彼女は交差に対応を求めた。すると、『ああ、大体の状況は分かっているよ、彼女は『DALLS』の一人だね。それにしても、長いこと眠っていて戦闘間隔が鈍っているとしても、やはり戦闘能力は高い。むしろ問題なのは闇の方だ。闇の対応の仕方は完璧に戦闘慣れしている、あれは、まるで獣のような動きだ、彼女は何者だ? 動きが格闘術を習っているとかそういうレベルの動きじゃないぞ、まるでいつ死ぬか分からない戦地や狂暴な野生動物が大量に住む島で生きてきたような動きだぞ』
「ええ、まったくその通りです」
氷柱も、全く同じことを感じていた。闇の動きは訓練とかそういうもので身に着けた動きではない。縦横無尽に猿のように飛び跳ね、虎のように掴みかかる姿は完全に野生の動物のような人間離れをした動きなのだ。
斬りつける刃を紙のように躱し、嵐のように襲い掛かる。しかし少女の方もただ闇雲に斬りつけるだけでなく、フェイントをかけたり、狙いを済ませた突きを繰り出す、動きは熱く、頭は冷静に、まさにそんな動きに見えた。
闇がDALLSの一人と互角の戦闘をしている所をみて、改めて氷柱は黒城 闇 貴方は一体何者なのですか? と疑問を抱いていた。
「それは、そうとしてさ、今回の件、虚淵さんに連絡はどうする?一応あの人がこの『DALLS』の対策の隊長なんだけれども」
「連絡については貴方に任せます。私はここで、必要がある時に、闇さんのサポートをします」
「分かった、じゃあそう言うことで」そこで、連絡は途切れた。
「さてと、とりあえず、虚淵さんに連絡だな。」と言い、スマホの連絡先の『虚淵沙夜』の所を押した。
プルルルルル プルルルルル「あ、虚淵さん?」
「んん?、ああ、交差さん?、君と電話で話すのは久しぶりですね、どうかしたんですか?」
なぜ、この人は敬語なんだろうと思いながら交差は話を続けた。
「ええ、『DALLS』の一人が見つかりました。」
「なるほどぉ、そうですか、場所はどこです?」
「えーっと、新橋河原の橋の下ですね。」
「もしかして、戦闘中ですか?」
「ええ、まぁ、例の彼女と」
「ああ、黒腕に憑りつかれた・・・・たしか・・・黒城 闇・・・でしたっけ?」
「はい、そうです。」
「そうですか、連絡ありがとうございます。私もすぐそちらに向かいます。こちらの用が済んでから。」
「それでは、失礼しました」と言って、交差は、沙耶の電話が切れるのを待った。
ふう、ホントに大丈夫かな、あの人で。まぁ、一応、柴杏さんが推薦してくれたしな。
「ん?『DALLS』及びサイボーグ対策の隊長を、虚淵に任せて大丈夫かって?だーいじょうぶ、だいじょうぶ」そこで柴杏はすこし切ない顔をして、「あいつは、サイボーグであることの痛みもわかるし、そして対処もできる奴だから大丈夫だよ」と言った。
ま、大丈夫だろ、と交差は安堵した。
「さてと、お待たせしました、貴方は何を持ってこの子たちを生み出していたんですか?」
虚淵沙夜は電話をきると、とある廃墟でいままさに足を撃たれて身動きがとれなくなった白衣の少し太った男にそう言った。まわりには、沢山のロボットの残骸が散らばっていた。
「はあ、はあ、決まっている・・・・人は少しでも体に欠損すればすぐに使えなくなる。
だが、ロボットならどうだ、体の欠損があってもすぐに直せば問題ない、なによりこいつらの代わりなんていくらでも・・・・・・」
ビュッ!!男の言葉を遮って、虚淵沙夜は弾を撃つ。それは、わずかに男の頬に当たり、
「ッヒ!!」と男は怯える。
「代わりはいくらでもいる・・・・そうですね・・・・・外見は同じ、中身も機能も全く同じ・・・・だけど、代わりはいない。この世に代わりがいる存在なんていない。そのかわり、貴方みたいな人は、代わりどころかゴキブリのように沢山いますけどね」表情は淡泊だが、その言葉には、明確な殺意が込められていた。
「わ、私を殺すのか??」
「いやぁ、さすがに被疑者であっても無防備の状態の貴方を殺すこと、私刑は認められていないですよ。」
男は、ホッとした後に沙夜は口が裂けるほどニヤッと笑みを浮かべ、「でも、それは死なない程度なら、何をやっても構わないってことなんですよ?」「!!っや、やめ・・・・」
バン バンッ バンッ バンッ
銃で男の四肢を撃ちぬくと、男は、「グぎゃあああああああああ!!」と悲鳴を上げうずくまった。「おやおや、悲鳴を上げるとは、まだまだ元気があるようですね」
「や、やめ」男に銃を向けながらニヤッ沙夜は笑うと。「ま、冗談ですよ、冗談、こっちにも用ができたしね・・・・・・けど・・・・・あなたの尋問するのは私ですよ。」そう言って、また口が裂けるほどニヤッと笑うと、光の手錠のようなものを男の四肢、そして、腕にかけ、「まあ、とりあえず、逮捕して、あとの処理は別な人に任せる・・・・・さて、ゴッドハザードに、DALLS、厄介な件が二つあらわれてきましたねぇ。」と言った。
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