「お話し」未満
神帰 十一
催す ※『姉へ』から抜粋
今日は少し、汚いお話しになります。
面白いんですけどね。汚いです。
今回の主人公の「彼」は、そうですね、
営業マンです。
今のご時世では珍しくないかも知れませんが、お財布を持たないタイプの人です。
身長が170㎝位で、中々のイケメンです。
Yシャツは、オーダーに拘ります。
スーツもサイズに関しては拘っていますが、幸い 吊るしの物でも ピタリと合うので、吊るしの物を購入していました。
最近はセミオーダーも高くないので、セミオーダーを頼むようになったそうです。
彼がサングラスをかけて、品の良い車から 滑らかに降りる姿を見た人は、少しだけ目を止めてしまうことでしょう。
引っ張ってもしょうがありません。話を進めましょう。
その日も彼は、街を颯爽と歩いていました。
そして、急展開。
いきなり催して……、してしまいます。
人生なんてそんなものです。油断して忘れていると督促されて嫌な気持ちになるのです。
支払えないと死活問題に発展する場合もあります。
けれど、今回は支払ってしまうと、社会的名誉が死んでしまうような出来事でした。
それなのに彼は支払ってしまいます。
敢えて社会的な死を選んだと彼は言います。
「トライした」
彼はそう言いますが、どう考えても「エラー」です。
ですが、本人がそう言うのなら否定はしません。
メンタル強者の彼は冷静に未来を予測しました。
(弱ったな……。今は、まだボクサーパンツが堰き止めてくれているが、長い距離を歩くとなると、やがて隙間から溢れて来るであろう事は必定だ。 最終的にはズボンの裾から、コロンと出てくるに違いない)
彼は突然 神から下された試練を甘んじて受け入れ、乗り越えて行く決心をします。
(フッ、神め。僕を舐めるなよ)
と、彼が思ったかどうかは知りませんが、彼は閃きます。
(そう言えば、この辺には後輩が住んでいたな)
彼が人生で成功した秘訣は、その決定の早さと、行動力によるところが大きいです。
普通は自分の失態を語ることに、抵抗を感じてしまいますが、彼は包み隠さず後輩に、自分が窮地にいることを伝え、助けて欲しいとお願いします。
尊敬している先輩が、助けてくれと言っているのです。後輩は、寧ろ助ける事を申し出たことでしょう。
そこには1㎜も、先輩と後輩であると言う、社会的な立場の優劣を背景にした無理強いは無かった。と信じます。
後輩の部屋で汚れを落としても良い、と言う約束を取り付けた彼は、また歩き出します。
(フッ、ハッハッハッ、どうだ神め、乗り換えられない試練などないのだ!私は後輩の部屋で穢れを祓い、元の自分を取り戻して見せる。そして感謝してやろう。更なる私の成長を促してくれた神! お前のことを!)
そんな風に思っていそうなくらい、威風堂々と彼は歩き出します。
人間は皆、排泄をするのです。その日はたまたま、指定された場所でしなかっただけです。そもそも誰が、そこでしろ。と指定したのでしょう。何処でしたって良いのです。
彼の心は誰にも縛る事ができません。
少しだけ、ふっくらとなったお尻をフリフリさせながら、彼は後輩の部屋に向かいました。
※ 続くかどうか分かりませんが、一旦、おしまいです。
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