有難い


ある日,奏から突然連絡が来た。歌子経由ではなく,奏から急な連絡が入るのは珍しいことだった。


奏と一緒にヨガをやっている四十代のおばさんが私の二ヶ月前に四人目の子供を出産したのだが,「この間からヨガに復帰し,親子で参加しているから,会ってみないか?助産師として働いた経験もあり,子供が四人もいる育児のベテランだから,色々と力になると思う。あなたのことを妊娠がわかってから,ずっと彼女に言っていて,彼女も,あなたに会ってみたいと言っているよ」と言う連絡だった。


第一子を産んでから,毎日慣れない子育てに追われ,いわゆる「ママ友」という関係がまだ築けていなくて,心細い思いをしていた私にとっては,奏の誘いはとても有り難かった。


赤ちゃんを連れて,奏の自宅で開かれるヨガクラスに参加してみることにした。


奏が紹介してくれたおばさんは,吉本さんという名前で,とても気さくで,話しやすかった。


吉本さんから,奏が,私が身籠ってから,「大丈夫かな?無事に生まれるかな?」とずっと私のことを相談され,私の話を聞いていたことを話してくれた。


私は,これを聞いて,奏が父親やおじいちゃんのように,私のことをずっと暖かく見守ってくれていたことに気づき,感動した。この瞬間に,奏の存在は,私にとって,とても有り難く,大切なものだと改めて気付かされた。


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