役立たずの勇者様の役立たずの理由
「そうなんだ。だからあの人達は有無も言わせずに何の説明もなく僕に勇者を押し付けて魔王の所に向かわせたのか。いやに高圧的で命令しなれてる上に人を見下してるなと思った」
瑠璃くんはそう言って何かに納得していた。
(うわ、、、関わりたくない奴等だ)
「それで、その当時の勇者は何をしに魔王の所に行ったのかな?話を聞く限り戦う為じゃないみたいだけど」
「ああ、そうだ。勇者様は魔王様と話をしたかったらしい」
「魔王様と話を?」
「そう、『対の勇者の自分が魔王を倒したいと思わないのは可笑しいのか?何の悪さもしていない魔王を倒すのは可笑しいと思うのは自分が可笑しいのか?』と、勇者様は初めてあった自分の対の魔王様に最初に言った言葉らしい」
特にオレは勇者様が可笑しいとは思わないけど、当時の状況じゃあ勇者様は周りにお前は可笑しいと言われ続けたんだろう。
(むしろ、勇者様は勇者として正しいんじゃねぇのか?悪さをしてねぇ魔王様を倒したくないってのは普通だろ?むしろなにも悪い事をしてない魔王様を問答無用で倒す方が変だろ?)
「それで当時の魔王様はなんと返答したんですか?」
「、、、『結婚してくれ』だ」
「え?、、、結っ?」
「プロポーズしたのか、、、当時の魔王は勇者に一目惚れでもしたのかな?」
「そうだ。当時の魔王様は勇者様に一目惚れして即結婚の申し込みをしたらしい」
「あ~、、、その、何となくだけど、何で女勇者が役立たずとか、無能とかのレッテルを貼られたのか分かったかも」
ここまでの話を聞いてたオレも何となく最後がどうなるか分かった。
「まぁ、そうだな、、、当時の勇者様も魔王様に一目惚れしていたらしく、、、その日のうちに魂の交換は済ませてしまったらしい」
「魂の交換?なんですかそれ?」
「魂の交換は一生絶対にお互い以外を愛する事が無いと思う者としかやらない。つまり、言葉通りの意味でお互いの魂を交換する事だ。簡単に言うと魔王様の魂を勇者様の体に入れ、勇者様の魂を魔王様の体に入れることで、どちらかが死ねばもう片方も死ぬというものだ」
「あ~、、、何となく意味は分かりました」
つまり、お互いの体にお互いの魂を入れ換えて、どちらかの死がきても同じタイミングでもう片方も死ぬという事だろう。
(死がきても別れないって感じだな)
「そして、数日後には結婚式を挙げていた」
「ですよね。で、向こうの人達にはそれが許しがたい事だと?」
「はぁ、、、そうだ。魔王様を倒すはずの勇者様が、その魔王様と結婚したのだから向こうにとっては自分達の役に立たたない無能な女の勇者って事だ」
「魔王様と結婚したのも向こうの人達にも知られてるんですか?」
「いや、神界の者達は知っているだろうが、他の者達は女の勇者様は役立たずにしかならない要らない者としか伝わってないだろうな」
「あの、それって、、その、、対の勇者だけじゃないよね?」
「そうだ、、、召喚された勇者が女の場合でも適応される」
「は?」
本日2回目のドスが効いた声を出してしまった。
(その神界の奴らの我が儘みたいなもので勝手なレッテルが貼られただけなのに?何の罪も無い女として生まれただけの魔王の対の勇者様を要らない者として扱うだけじゃあものたりず?向こうが勝手に召喚して無理矢理この世界の勇者様にされた子の性別が女ってだけで役立たず?は?可笑しくね?ソイツらバカなの?死ぬの?)
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