やっぱりオレは嫌われてるみたいだ
魔王様が居そうな方向に歩いていると近くに人の気配を感じた。
数人居るなと何となく分かってどうするかサージさんに聞こうとした時、その数人の会話を聞いてしまった。
(魔王様の事を見てないか聞いた方がいいかサージさんに聞いてみねぇとって、、、え?)
「しっかし、魔王様の世話係りは何でなんの仕事もしねぇんだろうな?」
「魔王様のご機嫌伺いが仕事だからじゃない?」
「楽な仕事で良いわよね?」
「魔王様のお気に入りってだけで何もしない穀潰しのくせに」
「何であんなのが魔王様の側に居るんだよ!」
「あんなのが側に居たら魔王様の威厳が損なわれるわよね?」
「本当だよ!上の奴等は魔王様の名誉に傷を付けたいのかね?」
そこに居た数人はオレの悪口を言っていた。
オレは突然現れて魔王様の世話係りになった自分の悪口を言われるのは仕方ないと思っているのでオレの悪口を聞いても傷ついてはいない。
さすがにイラっとはくるが。
それより、オレの隣に居るサージさんのが怖かった。
(なにこれ?サージさんは何時もの無表情なのに気配が、、、ピリピリというかビシッというか、、、凍り付いた所にいきなり熱いもので斬り付けられるような心地が、、、怖いし、なんか温度が下がったような?)
「 (サージさん?)」
「、、、。」
「 (あの、サー、)」
「何で魔王様はあんなのに懐いたのかしら?」
「知らねぇよ。けど、あんな弱そうな奴に懐くのはねぇわ」
このままでは不味いと思ったオレはここから離れようとサージさんを小声で呼んだが、返事がなかったのでもう一度サージさんを呼ぼうとしたら、オレの悪口を言っていた奴等が喋り出して遮られた。
(こいつら馬鹿なの?サージさんがヤバそうだから離れてやろうとしてんのに?死にたいの?いや、比喩じゃなくて本当に死にそう(サージさんにコロコロされそう)で怖いんだけど)
「反対に弱すぎて魔王様も珍しく思ったんじゃない?」
「確かに!ここであそこまで弱そうなのとか見ないもんね?」
「軽く遊んでやったらその辺でぶっ倒れるんじゃね?」
「ギャハハー!それ、面白そう!今度あれが一人の時にやってみようぜ?」
「それ、良い!私も賛成!」
「私も!」
「オレも!」
「俺だって!」
どうやらここで話している奴らは全員、オレと遊んで(虐めて)みたいみたいだ。
(もうやめて!サージさんが!サージさんが!、、、静かだけど殺気が、、、これ、殺気だけで死にそうなんだが)
「じゃあ、誰があいつと先に遊ぶか決めねぇとな。ちなみにオレは一番最初がいいぜ!」
「それなら、私ははじめの方がいいわ!」
「俺は最後の方が遊びがいが、ありそうだから最後の方がいい」
「私は何処でもいいわ」
「ほう、それは俺も参加出来るか?」
「ああ!誰でも参加していいぜ!お前はなん、、、え?」
「え?、なっ!」
「なん、、え?」
「あ、」
オレと遊ぶ順番を決めている奴らの中にスッと、本当になんの音も気配もなくスッとサージさんは入っていった。
サージさんに気づかずに話を続けようとした奴らはサージさんの存在に気づいて驚いていた。
(まぁ、驚いたのはそれだけじゃねぇだろうけど、、、サージさん、あんな顔もするんだな)
サージさんは優しそうでいて爽やかな笑顔で奴らの前に立っていた。
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