見せてください!
第20話 灰テンション
「
「昨日のごみ拾いお疲れ様。
「部長は相変わらずだよね。女子だけの場所だとすごいカッコいいのに」
僕が正式にボランティア部に入部してからというもの、教室でも
その度に
「なあ
「んふふふふ。
「僕もお前も世間から見たら汚物かもしれないけど
「
脂ぎった顔で気持ち悪い笑い声を上げる
「性女!? やはり
「
「ぬふふ。わいも少しオトナになったのでな。お主が童貞を捨てたとしてもわいは
「そもそも僕まだ童貞だから」
なんで僕が女子と話すようになっただけで童貞を卒業したって思われるんだ。異性と会話しただけで性行為に結び付くならこの教室は乱交パーティーだ。
「ところで」
クソゲス野郎の表情から一変、目つきだけはキリっとした丸顔が僕を見つめる。
「
「マジで? プログラムはともかくリアルさが足りないって散々揉めてたのに」
「いや、その揉め事は全く解決していませんぞ」
「あー……基本的にはシステムやレスポンスは完成したけどってことか」
「うむ。さすがは話が早いでござる」
「二次元美少女のVRなんて実現したら僕らは本当にダメになると思うけど、やっぱりロマンがそこにあるよな」
「うむ。市販品と次元を超えたVR。リアルJKを観察し、その行動を反映できるわいらだから作れるVRですぞ」
僕と
技術力、開発力は高校生を超えていると思うし、みんなそこそこ成績が良いので将来は有望なのに二次元美少女に慣れ親しみ過ぎて性癖が歪んでしまった残念集団。
残念だからリアルの女子に相手にされず、それがさらに二次元への愛を加速させる。僕らはこの負のループから逃れられない運命なんだ。
「リアルJKはわいらが求める理想の女子から程遠い。性格面にはついては二次元には絶対勝てぬ。しかし、しかしである。仕草や肉感を再現するための経験がわいらには足りない。あまりじっくり観察すると通報されてしまいますしな」
「ああ、うん。
「んほほほほほ。それが友人に対する仕打ちですかな?」
「重大犯罪を犯す前に止めてるのが僕の友情だよ」
「はっはっは。一本取られましたぞ」
どこからか扇子を取り出し、パッと勢いよく広げると今期の
そのセクシーなはすみんから送り出される風はさぞかし気持ち良いのだろうな。
「して、ボランティア部は他の部活の助っ人をしてるんでしたな?」
「うん。それはほとんど部長さんがやってるけど。この前のプール掃除なんかも他の部活の助っ人になるのかな」
「つまり、わいらパソコン部もボランティア部に助っ人を頼めるわけですな?」
「まあ、そうなるな」
「わいらでもギリギリ話せそうな
「リアルJKの質感っていうワードがキモ過ぎるから無理」
「そこを何とか! この一瞬を乗り切ればわいらの老後も安泰なんや」
「ダメだって。そもそも依頼なら
半分で冗談のつもりで言ったけど
「それができぬから
「お前が灰になって、その隙に僕は通報する」
「通報は余計ですぞ」
「だいたいリアルJKの質感ってどんな風に調べるつもりなんだよ。僕じゃなくても普通に通報されそうな案件に聞こえるんだけど」
「それはもういろいろなポーズで撮影させていただいて、あわよくば、本当にあわよくばボディタッチ、欲を言えば粘膜の接触なんかも……」
「
「あわよくばと言っているではありませんか。わいもそこまでの期待はしていませんぞ。ほら、この綺麗な目を見ても信じられぬか?」
「欲望でギンギンに血走ってることは伝わったよ」
「んふふふふふ」
全然誤魔化しきれない不気味な笑い声を上げながら
「勘違いしないでほしいのは、わいはロリ専門であるということ。
「え? お前が選ぶ権利持ってたの? キモッ」
「辛辣なのは友情ゆえですかな」
「いや、単純にキモいなって」
さすがにこんなやつがいるパソコン部に
やっぱり僕が
「質感はまた改めて追い求めればいいだろ? 僕らキモオタの夢が具現化しただけでも評価されるって」
「むむむ……リアル女子との交流がある男はよゆ……うっ!」
饒舌だった
「
「こいつは筋金入りだから。僕だって
「そ、そうなんだ」
しまった。
「ところでどうしたのかな。今日もどこかでごみ拾い?」
「最近は
「
「えへへ。そうかな。最近はクラスのいろんな女の子とお話するようになって、部活でも交流の輪を広げてみようかなって思ったんだ」
「さすが
クラスの中心人物に近付くと思考も少しずつ陽に変わるらしい。数週間前の
「それでね。
「うん。そうだけど」
なんとなく視線を灰になった
「まずは
「ふ……ふふふ。天はわいに味方した。ぜひ……お願い申す」
そう言い残して
「
「えーっと、最近はVRの開発をしてるかな」
「すごい! わたしなんかが手伝えることがあるかわからないけど頑張るね」
「いやあ……やっぱり部活の助っ人は部長さんに任せて僕らは校内美化に努めるのがいいんじゃないかな」
「
「ドン引きしたらすぐ帰っていいからね。
「
部活の助っ人でテンションが上がる
佐渡先輩や
やっぱり僕みたいなクズ野郎には贅沢すぎる時間だったんだ。
本来ならオタクのホームであるパソコン部に行くのがこんなにも辛く感じる日が来るなんて全く予想していなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。