第41話 神の一番いい仕事2

「急に双子とか言われても色々準備できないよ。主にお金の準備が。うち八丁目よ? 貧困地域の中でも極めて貧困家庭よ? 子供1人すら福祉の力を借りてなんとか育てようってレベルのド底辺家庭よ?」


 自慢じゃないけど、わりと日々の暮らしにすら困っている。ほんと、自慢じゃないけど。


「ごめんね、はんな。僕の稼ぎが悪いせいで……実家からお金借りようか?」


「それは、いい。辞退します。自分の家庭は自分達の力だけで守りたいの」


 そうよ、それが親になる者の覚悟ってもんよ。


「え? 福祉の力借りるって言ってなかった?」


「それは、いい。福祉の力は借りる権利のある力」


「まあ、いいけど。でも幸せ者だよ。金はなくてもさー、こうして毎回旦那さんが検診についてきてくれて。毎回胎児の成長に涙流すような人そうそういないよー」


「幸せ者だよー。とおるくんは宇宙一優しいからー」


「んだよ、結局ノロケかよ」


「須藤先生、患者への言葉遣い考えた方がいいわよ。クレーム来るわよ」


「お前だよ。主治医にこんな口のきき方する患者他にいねーよ」

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