第39話 復讐10

 目が覚めた。天井が見える。


「はんな!」


 ママが私の手を握っている。私は、ベッドに寝ているみたい……。


「樹のことは、はんなのせいなんかじゃない! はんなが後を追ったりしたら、一番悲しむのは樹なのよ!」


 ……え? 樹くんの後を追う……?


「そうだよ、はんな。樹くんはずっと自分のしたことを悔いていた。お前を助けることができて本望だったはずだ。お前のおかげで仕事もやる気になったし、人生を変えてくれたはんなには感謝してると一緒に酒を飲んだ時にもよく言ってた! 」


「絶対に樹ははんなを恨んでなんかない! 樹はそんな子じゃないって、あなたもよく知ってるでしょう?! もう二度と、こんなことをしないで、はんな!」


 ああ、そうか。私は自分のせいでと樹くんの死に責任を感じて、後を追おうとしたんだった。


 いや、そうか? 私、そんなことするかな?


 樹くんがそんなの喜ぶわけないことくらい、よく分かってる気がするんだけど。

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