異世界チート(中等部編)~底辺で怠惰な俺が能力チート貰って最強イケメンに転生したらいつの間にかハーレム形成してたけど、ただのやる気無い中身おっさんの俺に厄介事を押しつけんのやめてくれませんかねぇ……~

@miura-adams

序章~学校へ行く準備をしよう!~

第1話~お買い物に行こう!~

【カニー:グレイティス王国の通貨】



 4月1日、昨日までは一応リール・ア・リーフ初等学校の生徒という扱いだったが、今日からは遂にシェーベリー戦闘大学校の生徒として扱われる日。入学式は7日なのでまだ少し期間が空いている。その内にシェーベリー戦闘大学校の制服や必要な本、武器といった品々を買いに行く必要があった。

 せっかくなのでシェーベリー戦闘大学校の生徒として扱われる日になる今日に買い物に出かけようと考えていた。外は雲一つない快晴だ。これだけ日が出ていれば外も暖かく気持ちの良い日だと思う。


 まず買い物へ行くにあたって便利屋を訪ねた。買い物はかなりの量になるのだが従者は居ない。自分だけでは到底運べるものではないので1人、荷物運びを雇うことにした。

 便利屋は自由業みたいなものだ。そういった人の大体は冒険者を目指すが、戦闘に不向きであったり苦手な人が便利屋に集まり、人材を求める人に雇われて仕事に従事するという形だ。


 便利屋の建物内は酒場のようになっている。便利屋の仕事も主に荷物運び等の力仕事が多いからか強面、筋肉モリモリマッチョマンがたくさん居る。どうも夜通し働いた人が今飲んでいるようでうまそうに杯に入った酒をガブガブ飲んでいる。

 そういった状況なので俺も朝早めに来ているが非常に活気があって、便利屋に雇われている若い女性が忙しそうに数人、盆を持って仕事を終えた男たちに酒や摘みを持って行く。

 俺はその光景を見て少し涎が出そうになった。そんなに酒の味はそこまで好きではないが酔うのは好きだった。こちらに来てからは当然飲酒はしていないが。ああ早く16歳になりたい。


「ファンデン・ロートリースです。今日はよろしくお願いします。」

「俺はラビーです。よろしくお願いします。」


 今回雇ったのはラビーという30代半ばくらいの男。この便利屋でも一二を争う力自慢らしい。身長は俺より低く大体165センメラー程度だが腕周りが大木のように太い。日に焼けた肌もその腕っぷしを誇示しているかのようだ。そして特徴的なのは随分派手な赤紫で珍妙な柄のバンダナを巻いているところだ。


 ラビーに荷車を引いてもらい、俺たちはシェーベリーの商業区へ行く。その名の通り様々な商店が並んでいる場所だ。俺が必要としているものも大体ここで揃えられる。


 店が開くくらいの時間と結構早めに来たのだが、既に商業区は賑わいを見せていてたくさんの人が居る。学生らしき姿も多く、俺と同じ新入生、学年が上がるのでそこで必要になる物を買いに来た人もかなり居るのだろうと思う。


 道の両端に様々な道が立ち並んでいる。今抜けているのは雑貨品や小物類の店が固まっている区画。今回はここには用はない。この先にある服飾店で注文していた制服を取りに行きたいのだ。

 人が居ればそれだけ雑踏の音が大きくなる。そして呼び込みの声もそれに負けぬ大きなものとなる。俺はそれに目もくれず歩いていたが、とある店の店先で目が止まった。

 小物類の店だが別に店には用はない。問題は店先の人だった。あの子に見覚えがある。シェーベリーに向かう道中、徒歩で居るところを俺の家の馬車で一緒に行った少女、エレナ・ノーンだ。


 どうやらエレナは店員のセールストークに捕まってしまい断りきれないようだ。俺も気持ちは分かる。それで何度か高いものを買ってしまったことがある。まあそれに関しては概ね満足できる品だったが。彼女に関してはどうか分からない。少なくともシェーベリーまで徒歩で行くしかなかった彼女に小物を買っている余裕は無いだろう。


「エレナさん、探したよぉ。」

「ふぇっ。ロ、ロートリースさん?」

「もう制服店開いたから行こう。」

「は、はい……。」


 俺は彼女と待ち合わせをしていたように装って彼女の手を引いて半ば強引に彼女を軒先から連れ出す。もちろん待ち合わせなどしていないのでエレナは驚きっぱなしだったが。


「あ、ありがとうございます……。た、助かりました……。」

「いいよ。でも店員もあれが仕事だし断られて元々だから気にせず『いりません』でいいんだよ?」

「そ、それは、分かってるんですけど……断りづらくて――。」

「――分かります。俺もそれで随分高いものを……。」


 俺とエレナは制服を注文した服飾店へ向かう道中、さっきのセールストークについて話す。やはりエレナも分かってはいるが断りづらいらしいというところでラビーが食い気味に話に入ってきた。彼もそのクチらしい。


「このバンダナ、1万カニーもしました。もったいねぇんでこうやって着けてますが……。」

「それ……買わされたんですね……。」

「まあでも随分目立つんで結構仕事が入るようになりましたわ!」


 俺も気になっていた彼の珍妙なバンダナ。セールストークに乗せられて買わされたらしい。しかしたしかに目立つので彼の働きぶりも相まってあのバンダナの兄ちゃんで通り、仕事が多く入ることにはなったらしい。ケガの功名というやつだろうか。


 俺たちは服飾店に到着。制服は俺もエレナも同じ店で受け取りであることが分かり、一緒に入ることにした。

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