コロナ禍、我が家に福が来た。

ぽかぽか陽気の、福が来た。

荒れ果てた家族の心が癒された。

しばらくして、福の代わりに花を失った。

妻が季節ごとに部屋中に置いていた草花。

室内のあちらこちらにあったが、今は一本も無い。

無いというか、全て枯れた。

桃の節句にお雛様、５月人形も出せなくなった。

大事な書類は破られ、鍵もどこかに消えた。

妻は福に癒されているからとあきらめる。

数十年間の生活が一変した。

福は草花をむしゃむしゃ食べ、人形の首をガリッと刈る。

福が来たんだからいいじゃにゃいか。

癒されたんだからいいじゃにゃいか。

にゃんだそれ。

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