第7話ピンクのグロス①
鈴川さんが作ってくれたパスタを二人で食べて、交代でお風呂に入ってパジャマに着替えてアルコールが低めの缶チューハイをナッツの詰め合わせをおつまみにちょっとだけ飲む。好きな人とするパジャマパーティーはとても楽しい。
ピロピロ、ピロピロと鈴川さんのスマホが鳴る。
こんなに楽しいのに、それは二人の楽しい空間を邪魔する。
鈴川さんはちょっと……と断りをいれて廊下に出ていってしまう。
ああ、彼女さんから電話がきたんだね。素直によかったねとは思ってあげられない自分に落ち込んでしまう。
きっと、楽しい話をしているんだろうなと思っていたのに、廊下と部屋のドア越しに通話でケンカをしているのが聞こえてきて驚く。
「茜ちゃん、茜ちゃん……っ」
「鈴川さん!どうしたの?」
部屋に戻ってきた鈴川さんはすっかり酔いが覚めて、子供みたいに泣きじゃくっている。それに合わせて私もすっかり酔いがどこかにいってしまった。
「かのじょ……もうあえないんだって……ふられちゃった」
なかなか、言葉が出てこない鈴川さんがやっとのこと、私に伝えた言葉。
「なんで……」
「彼女、結婚するん、だって、結婚前に女の子とも一度付き合ってみたかっただけなんだって」
「そんな、ひどい……」
「あたし、女を見る目がないのかな……」
そんなことないよ、次はきっといい人と付き合えるよ、そう言わなきゃいけないのに。
「そうだよ!鈴川さんのこと……っ……そんな風に扱う女なんか選ぶなんてっ、だったら私が、私がっ鈴川さんの恋人になりたかった!」
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