眠れる梅雨の美女
ヤグーツク・ゴセ
第1話 梅雨が明けるまであとどれくらい。
曇天真っ盛りな今日。なんとなく暗い今日の東京は人工の光だけで満たされていた。僕の頬に一瞬冷たさが刺した。雨だ。またか。 梅雨が明けるまであとどれくらいだろうか。
聞きたい曲も見つからない。自分の感情とは真反対の曲名ばかりが再生リストに並ぶ。大学の講義にも出席する気になれず、東京という都会の闇、路地裏で1人。無駄に過ごす。忘れたいことばっかだ。ほんとに忘れたいことばっかだ。君が目を覚めるまでずっとこの雨は降り続けるのだろうか。明日君が起きたら何しようか。当たり前の話をしよう。2人の好きな話を。今すぐにでも君の眠りを覚ましてやりたいけど。
君はどんな顔だっけ。思い出せないな。
雨がしきりに強くなってフードを被る。季節に置いてけぼりな僕は何度もこの梅雨を繰り返す。
僕の過去はどこ?
戻ることのない過ぎ去った日々。戻ることのない失った日々。
僕は路地裏から抜け出せない。
一生
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます