第33話 コリーダの奮戦
コリーダは、目撃してしまう。五人の宮廷魔導士が化物に切り刻まれる姿を。
その化物は、両腕は大きな鎌になっていて四本の脚をもつ昆虫型の魔族だった。
その鎌を振るうと鎌鼬が発生し、見えない空気の刃が魔導士達を襲う。魔導士が果敢に反撃を試みるが、魔法の詠唱する隙を与えない様に鎌鼬が魔導士達を削って行く。また一人、また一人と倒れていく魔導士達。気づくと、宮廷魔導士は、独りになっていた。
「壁役が居ない事には、こいつには、勝てない・・・・」 漏らす弱音。
すると化物は、急に距離を詰め魔導士の前に立ちはだかり、その大きな鎌を振り下ろす。ゴロンと何かが地面に落ちると魔導士だったモノが倒れ、辺りは血に染まった。
その瞬間を目の当たりにしてしまうコリーダ。暫しの放心状態に陥る。
最悪の事に化物は、コリーダの存在に気づいてしまう。幸いにもコリーダと化物の間には、ある程度の距離が離れていた為、その場から鎌鼬を放つ化物。それは、コリーダの右肩をかすめ通りすぎる。肩から血が噴き出し、その痛みで放心状態から解放されるコリーダ。
「痛!・・・血・・・私の血?」
コリーダは、戸惑いながらも傷口をふさごうとするが、そこに化物が物凄い勢いで突っ込んでくるのに気づき間一髪、側道に飛び込みそれを回避した。
「危なかった・・・・『治癒力向上』≪リカバリー≫。」
素早く回復を計るコリーダだったが、今度は、頭上から化物が現れる。
「もう、ゆっくりと回復もさせてくれませんの!」 一目散で走る出すが、どこかぎこちなかった。
「誰なんですの!こんな水浸しにしたのは!もう制服が、ビショビショよ。」
衣服がまとわりついて思うように動けないコリーダだが、化物の死角になる場所を利用し、ある建物の中に逃げ込んだ。
これで、やり過ごす事が出来れば良いのですが・・・ここには誰も居ませんね。
避難したって事かしら・・・迷惑をかけずにすみましたわ。でも、これからどうするかですけども・・・
コリーダは、履いていたスカートをビリビリと破くと。
「これで、動き易くなったわ!・・・・でも、ここはもう・・・」
ドカンと大きな音と共に建物が破壊されるよりも先に、コリーダは、建物を抜け出し、全速力で走り化物との距離を広げた。だが、突然、彼女は立ち止まっり振り返った。
「逃げ続けても、いずれ限界がくるでしょう。いつ来るかわからない助けを待つなんて・・・そんな選択肢、私にはありませんわ!」
普通に戦ったら、宮廷魔導士の二の舞になる。大掛かりな魔法の詠唱は出来ないとなると・・・
その時、コリーダはある女生徒との会話を思い出す。
聞いて下さいコリーダ。シフォンさんが天使を倒したんですよ!しかも、魔力弾≪マジックショット≫だけで!
はあ?何言ってんのユーワ。魔力弾≪マジックショット≫なんかじゃ、その辺の雑魚魔物も倒す事も出来ないでしょ。
それをやってのけちゃうのがシフォンさんじゃないですか!今や学院中、その話しで持ち切りですよ。 (私が広めたんですけどね。)
・・・・まあ、その話しが本当だとして普通の魔力弾≪マジックショット≫では無いのでしょ。で、どんなヤツだったの?
う~ん、何と言うか・・・と、とにかく、凄かったんですよ。
フー・・それでは、何もわからないじゃない・・・・
「あの子が天使を倒したって言うなら、私は、あの化物を魔力弾≪マジックショット≫で倒して差し上げるわ!」
速射性の高い、魔力弾≪マジックショット≫ならあの化物にも有効でしょうが・・・でも、決定的に威力が足りませんわ・・・手数で押すしか方法はなさそう・・・もう、迷ってる暇はないわね。
コリーダは、十字路のど真中に陣取り、化物を迎え撃つ態勢を取る。恐らく彼女の考えは、左右の道を利用し化物の死角に入りながら戦おうと言うものだろう。
迫りくる化物を前に敢然と立ち向かうコリーダ。口火を切る様に。
「先手必勝ですわ!」
魔力弾≪マジックショット≫を連射した。化物も負けじと鎌鼬を放つ。魔力弾≪マジックショット≫が化物を捉えるが如何せん威力が低く大したダメージを与える事も無かったが、鎌鼬は、大きく逸れていった。
「あいつの攻撃を逸らす事ぐらいは出来るみたいですわね。」
でも、それでは、いずれジリ貧・・・今更、威力を上げるのは無理・・・だったら、どうすれば・・・・速くすればいい・・・撃ちだす回数が増えればその分、威力を補える・・・はず・・・
再び、コリーダは、魔力弾≪マジックショット≫を連射する、今度は、意識する。より速くより多く。だが、化物は、お構いなく突っ込んでくる。コリーダは、それを避け死角に入る様に移動する。
「まだ、速さが足りないわ・・・だったらどうする。」
もう一度、身構えるコリーダ。そして意識する、より速くより多くより鋭く。
そして放つ魔力弾≪マジックショット≫。しかし、化物はもろともせず、コリーダに肉薄する。それをすんでの所でかわすといったやり取りを幾度か繰り返すうちにコリーダは、何かを掴みかけていたのだが・・・
唐突に訪れる終焉。コリーダの表情は青ざめていた。腹部から血が滲み出る・・・鎌鼬の攻撃を受けてしまったのだ。尋常じゃない出血。そして悟る自身の死を。
だが、彼女は、気丈にも化物に立ち向かおうとするのであった。
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