第31話 教えてあげたらどうだろう

 「これが、グーで、これは、パー。そんでもってこれがチョキ。」


 ジェイドは、ワーストベルにジャンケンの説明を淡々としていた。


 「なんでだ!グーが一番強いんだぞ!パーなんかに負けないぞ!」


 「だからだなぁ・・・・現実的な話しじゃなくてだな・・・」 クッ、ジャンケンを教えるのにこんなに苦戦するとわ。


 「もう、いいよ!そんな変な勝負よりも、普通に戦うぞ!」


 「まぁまぁ、とりあえず一度やってみようじゃないか。練習、練習。」 強引にでも、この勝負に持って行かなくては。


 ワーストベルは、あからさまに不満気だったが、ジェイドに促されて、渋々、了承した。


 「では、行くぞ・・・最初は・・・じゃなくて・・・」 ヤッベ。最初はグー何てしたら、又、何故何、攻撃が始まっちまう所だった。


 「ん?最初は何んなのだ?」


 「何でもない何でもない。じゃ、始めよっか・・・ジャーンケーン・・ホイ!」


 ワーストベルは、グーを。ジェイドは、パーを出していた。


 「ハッハッハ!私の勝ちだ!」


 「グーの方が強いんだぞ!何でだ!」


 「やれやれ、それがルールって奴だよ・・・パーに勝ちたければ、チョキを出せばいいだけなんよ!」 煽る様に言う。


 「ガルルルル・・・ルールだと!わかった!もう一度だ!」


 ワーストベルとジェイドは、ジャンケンの練習を暫く続けた。


 「はぁ・・はぁ・・やっとルールを理解してくれたようだね・・・では、本番と行こうじゃないか。」


 「キャハ、絶対負けないぞ!」


 「じゃあ、行くぞ、恨みっこ無しの三本勝負!」


 この時、ジェイドは、失念していた。ワーストベルの動体視力と反応の速さを。


   ジャーンケーン・ホイ!


 戦いは終わった・・・ワーストベルの連勝で。


 良く考えたら、勝てる訳ねーじゃねえか!ワンちゃんの動体視力とか考えたらよー。


 「フッ・負けは負けだぜ・・・・ワンちゃん、君が最強だ!」


 ジェイドは、ワーストベルの手を取り、天高く持ち上げた。何故か二人は飛び跳ね喜びを爆発させていた。


 「キャハハ・・うちの勝ちだーーヤッタヤッター!」


 「ヤッタヤッター・・イエーイ!」


 「キャハ、何でお前まで喜んでるんだ・・・まっいっかー!」



 そんな光景を冷ややかに見つめる者がいた。



 「ワーストベル・・・いったい、何をしているんですか・・・」


 「あっ!サザンだー。うちが勝ったぞーキャハハハ・・・」


 あれは・・・見た目は、かなり変わっているが、森で会った三つ目の魔族・・・・丁度、良い・・・


 「そうだ、ワンちゃん。この由緒正しい戦い方をお友達に教えてあげたらどうだろう・・・その・・マリアなんちゃらと言う人に。」


 「ん?マリアベルの事なのか?」


 「そうそう、そのマリアベルって人も由緒正しい戦い方を知らないと思うぞ。早く教えてあげないと、時代に乗り遅れてしまうよ!」


 「そっかー・・・じゃあ、早く教えてあげなきゃ!サザン、帰ろ!」


 「ええ!帰るんですか?」 丸め込まれてる・・・


 「んじゃあね~厄災!又、遊ぼうな!」


 「・・・・わかりました・・・怒られてもあたしは、知りませんからねあたしは。」


 ワーストベルとサザンベルは、サザンベルの能力でその場から姿を消した。


戻ったワーストベルは、ファストベルにこってり絞られる事になるのだが、マリアベルはそれを見てケラケラと笑っていたという。


 独り広場に残ったジェイドは、呟く。


 「勝負に負けて、試合に勝ったって所かな・・・実質、私の完全勝利。」


 「嫌、それは違うと思うぞ・・・」 突然、後ろから声がした。


 「おお・・・君はさっきの亜人君・・・戻って来たのね。」 ジェイドは、亜人に近づこうとした。


 「すまん、それ以上、近づかないでくれ・・・」


 「何でだ!」


 「・・・あんたの趣味にとやかく言う気はないが・・・俺にそんな趣味はねえ。」


 どうやら、ワーストベルとのやり取りを見ていた様でジェイドに対して別の意味で警戒をしている様だった。


 「しかし、あんた、口八丁であの化物を退かせるなんて・・・何者なんだ。」


 「・・・さっきモフり損ねたから・・・あんたでいいや・・・・モフモフさせろーそうしたら教えてあげようじゃないか。」


 亜人は、もの凄い勢いで逃げて行った。

その後、ジェイドは、亜人達からケモナー認定を受け、避けられる存在になったとかならなかったとか・・・・。


 行ってしまわれた・・・悪ふざけが過ぎたかな・・・さてと、これからどうするかな、やはり、学院の戦闘を見学に行くかな・・・・でもその前に、近くにもう一ヶ所戦ってるね、そこを覗いてからにするか。


 ジェイドとワーストベルの戦い?は終わった。しかし、戦いはまだまだ、続くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る