第25話 グランド・ドラゴン
王宮で、アフリートと宮廷魔導士が対峙する中、突然、獣の咆哮が轟いた。すると、アフリートの様子があからさまにおかしくなる。
「な・な・なんで・・・あんな・・・化物がここに来ているんだ・・・・」
「オージェン卿!この強大な魔力は・・・・」
「うん、これは・・・凄いですね。」
宮廷魔導士達も動揺を隠せなかった。
「こんな離れた場所からでもわかる、この凄まじい魔力・・・・」
「あんなのに勝てるわけ・・・・」
タルトはその様子を見て檄を飛ばす。「今は、目の前の敵に集中しろ!!」
宮廷魔導士達は気を取り直し、アフリートに相対した。
「当主よ、街の方がマズイ事になってるぞ・・・・戦力的優位性がなくなってる。それにあの魔族をなんとかせんと・・・・」
「オージェン卿・・・・」 何かを訴えるような目でジェイドを見ている。
「あ、はい・・・行けばいいんですね・・・・」
「よろしくお願いいたします。」
ジェイドは、穴の開いた壁の上に立つと、街を見下ろした。
「うわ、結構たっか!・・・・当主の戦い見たかったけど・・・しゃーない、行ってくっか・・・あぁ、当主。『ランディ』にヨロシク言っといてくれよ。んじゃ!」
「ああ、伝えとくよ。」
ジェイドは、意を決してピョンっと飛び降りて行った。
「おい、あの人、こんな高いとこから、飛び降りたぞ、大丈夫か?」
「あの人の事は気にするな!集中だ集中!」
アフリートは、何か思い付いたようで、話しかけてきた。
「よう!人間・・・俺はもうこの国には、興味ねーんだ。見逃してくれんか・・・・そうすれば、お前らの命は奪わねぇ。良い取引だと思わねえか?」
「馬鹿な事を・・・貴様が起こした事だろ、その責任を取ってもらう!」
「ふん!そーかよ、折角、生き残るチャンスを与えてやったのにな!」
「来るぞ!総員、備え!」 その時、ガトーが悠然と先頭に躍り出た。
「あまり、時間を掛けられない。さっさと終わらせる・・・・タルトよ、良く見とくんだ・・・お前が引き継ぐべきモノを・・・・」
そう言うとガトーは、呪文を唱え始めた。
「何かしようとしてるみたいだが、させるかよ!」アフリートは、ガトーに向かって突っ込んできた。
「いかん!父上を守れ!!」 魔法で応戦しようとした。
「その必要は無い・・・もう、終わった・・・くれぐれも瓦礫に潰される間抜けな真似はせぬ様に・・・」
出でよ、我が守護獣 グランド・ドラゴン
王宮の天井の一部を突き破り、その黒い巨体を現す。降り注ぐ瓦礫を回避する、魔導士達。
「龍だとー・・・馬鹿な、奴等は地上からいなくなったはずだ!」
ドラゴンは、ギロッと睨むと。「何だココは、祭壇では無いのか・・・どう言う事だガトーよ!」
「申し訳ございません。急を要したもので・・・早速で悪いのですが、そこの魔族を片付けて下さい・・・王宮をこれ以上壊さない様、お願いします。」
「いきなり呼び出して、注文まで付けるか!すでに壊れてるではないか、もう、構わんだろうに・・・まぁ良い善処しよう。」
「聞いてねぇぞ、あんなもんまで出てくるなんて・・・」
それは一瞬の出来事だった。グランド・ドラゴンは尻尾を軽く振り上げると、アフリートが回避する余地を与える隙なく振り降ろされた。激しく床に打ち付けられ、アフリートは圧し潰された。
「取り敢えず無力化してやったぞガトー。止めを刺すか?」
「それには及びません。魔族の研究したいと言う頭のおかしい連中が居ますので・・・それより、もう魔力が・・・・」
「ふん、祭壇以外で呼ぶからそうなる・・・・・あの阿保も来ているのか・・・」
「ええ、あのアホも居ますよ。今は、別件を頼んでいます。」
「しかし、こんな所でワシを使って良かったのか?別に強い活力が存在しているのに。」
「ここでは、短時間しか貴方を呼び出せないので、あちらには、あのアホに行ってもらいました。」
「ガハハハ!あの阿保なら何とかするか・・・・では、ワシは帰るぞ!」
「あぁ、そうそう、あのアホがヨロシクと言ってましたよ・・・・ありがとう、ランディ。」
グランド・ドラゴンは苦笑いの様なモノを浮かべながら、姿を消した。
今までの一連の流れを見ていた宮廷魔導士達は話す。
「あれが、盟約の龍と言う奴ですか?タルト様。」
「いや、違う・・・あれは龍では無いあれは、クレア家当主の守護獣、最恐の地龍、グランド・ドラゴンだ。話しに聞いていたが、これ程までの圧倒的存在とは。」
「あれがドラゴン・・・・凄い凄すぎる・・・あのドラゴンが居れば、魔族にだって負けはしない。」
「しかし、ドラゴンと龍って何が違うんだ・・・・」 一人の魔導師が疑問を投げかける。
「龍とドラゴンは、種族的には同じだ・・・・生き方の違いがあるのだ、龍はこの地上に残ったモノ、ドラゴンは異世界へと旅立ったモノ・・・故に両者は合い入れない存在になったと言う。」
「でも、龍は姿を消しているって事は・・・もう、ドラゴンしかいないって事では・・・」
「さあな、今、彼らがどうなっているかなんて、知る由も無いからな・・・」
その時、潰れ倒れたアフリートの前に人影が表われるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます