眩耀

 椅子に腰掛け微睡む少女。窓の外を見つめているのは、その少女自身ではなかろうか。


「今」この瞬間、過ぎ去って行く時間は決して後戻りすることは出来ない。

 逢魔が時、夢の中の少女には窓の外に何が見えたのか、決して来ない時を愁いでいるのか。


 絵画を観ている内に、なんだか視界がぼやけてきた。私は泣いているのか……

 どういう訳だかこのまま、この絵をずっと観ていたくなった。しかし、夢を終わらせねばならぬ。


 黒いドア。

 多分これが、最後のステージなのだろう。

 これで終わりにしよう……


 覚悟を決めドアを開ける。














 落日に目が眩み、膝をついてしまった。


【 了 】



 ※参考資料

 バルテュス作『決して来ない時』

 https://kakuyomu.jp/users/2951/news/16816700427808123183

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る