第37話 “流血”のヴァレンタイン
今年も、この季節が来た。 これまでは、オレの様な恋愛ソロプレイヤーは『世のリア充どもめ、爆死しろや!』などと言っていた処…なのだが。
オレは“人類”だ―――オレは“人類”なのだ! 失敗があれば何が原因で“そうなったか”を学び、再び同じような失敗は繰り返さない…そーーーう、“学習”と言うヤツをするのだ!
とまあ、何をこう息巻いているのかと言いますとですね―――やってまいりました!『バレンタイン』!! ふっふっふーーー世の恋愛ソロプレイヤーどもよ…オレを去年までのオレと思うなよ? 去年までは妹の乃亜しか、『兄さんには“ギリギリ”のギリチョコをあげます。 間違っても“義理”でもなんでもないので悪しからず。』―――などと言ってくれおったが…いやでもしかし、一個は一個だ!『ああそうか、じゃあ取り敢えずもらっといてやるわ。』等とお~?強がりを言ってしまいましたが―――ホントーはチョーーー嬉しかったっス! 昔懐かし『一個10円』と言う、ちっさいチョコでしたが―――“ツン”とはしながらもオレにチョコを“くれた”と言うその心意気が嬉っすい~~~の、だ!
しかあーーーし、今年は一味違う。 まあこの2ヶ月前には『クリスマス』と言う恋愛強者しか味わえないイベントを体感したからな…(とは言え、内容は相当アレでしたが)なので、このままいけば『バレンタイン』もそうなるのでは―――と、少しばかり期待をしているのだ。
それにアレだろ?『バレンタイン』とやらは女子が男子チョコを貢ぐ日だ。(彼なりの“主観”が、かなーり入ってます) これは『クリスマス』とは違って、自分の思いの丈を一つの贈り物に込める。 これはつまり、贈り物の多様性を表している『クリスマス』とは違う、まあーーーこの時は5人が5人とも素材・柄・色・編み方や包装紙など何から何まで“同じ”で往生をこいたものだった。 そこへ来ると『バレンタイン』の贈り物は“たった一つ”で“同じ物”……そーーーう、チョコレート一択なのだ!だから最早気遣う必要もな・い・の・だ!(どうやら盛大なフラグが立ったようです)
……ン?あれ?気の所為かなあーーー
* * * * * * * * * *
またも、知ってしまった―――私がいた世界にはその概念すらなかった“風習”“習慣”…それにしてもこちらの世界って、こうも男女関係を煽るかのようなイベントが満載のようね、だけど私からしたら大歓迎よッ!なぜなら竜児を私のモノに出来るのだからッッ!(呉々も言っておきますが、彼個人の存在は彼女の所有物ではありませんので念の為…)
それにしても考えたものよねえ~~今回のイベントには『チヨツコレイト』とか言うモノを手渡すだけで世の男性は私の前に平伏す!(これも彼女なりの“主観”が、かなーり…いえてんこ盛りで入っているうえに、固有名詞まで間違えている始末) 日頃は私の事を、やれ『ポンコツ』だの『ヤラカシ』だのと言っちゃってくれているようだけれど…この『チヨツコレイト』一つで、今までの私への非礼を詫び、謝罪し、そして私のモノとなる―――そう考えたら材料費なんて安いものよ! さあ~さああ~~~見ていなさいよ、竜児に小娘共ぉ~~~この私が“誰”だと言う事を判らしめてあげるわッ!
それにしても、どうして私が『バ・アレンタイン』の事を知ったのか―――それは、乃亜が大量にチヨツコレイト(業務用)や製菓用の道具を買い揃えているのを見たからだ。
「ねえーーー乃亜、それどうしたの?」 「(ンゲ)吹耶……見つかりたくないヤツに見つかってしまいましたか。」
「あのーーー私一応同じアパートの一室に住んでるんですけどぉーーー、バレるのも時間の問題だと思うんですけどおーーー。」 「(はあ…)まあいいでしょう―――見つかったのが兄さんではないだけマシにしておくべきでしょう。」
「ナニよナニよおーーーどうしてそんなに奥歯に物が挟まったような言い方をするワケえ?それに―――この大量のチヨツコレイト(業務用)はどう言う事なの?」 「仕方ありませんねえ―――まあこの際、頭数だけ増やして競争率でもあげときますか。」
「(ふえ?)何のことを言ってんの?」 「まあーーー要するにですね、コレはあの3人に対抗する為の措置でもあるんです。」
「あの3人……て、ひょっとしなくても靜香に巴惠に玲奈の事よね?でもあの3人がどうしたって言うのよ、私達って仲間なんだよねえ?」 「(チッ)これだから…あのですね吹耶、確かに私達6人は同じ一党の仲間です―――ですが、“ある面”に於いてはお互いライバル関係にあるんですよ。」
「“ある面”―――て…竜児の事……」 「私も、まさかとは思いましたよ。 2ヶ月前のクリスマスさえなければ、兄さんを独り占め出来ていたのは実の妹である私だけの特権のようなものだったんですからね。 だから去年までは『1個10円』の安モノで済ませられていたものを……それが今年ばかりはそうはいきません、小耳に挟んだ情報によりますと、あの3人も現在の私と同様の行動を取っているそうです。 中でもこの地域一帯の実力者―――『源野家』のあの姉妹は油断がなりません、哀しくも私には財力と言う要素が欠けていますから…そうした部分を補う為に“愛情”を込めると言うのが私の戦略なのです!!」
そこで私は“
フッフッフ、さああ~~~小娘共、精々私のピエロとなって、成って果ててしまいなさいな!(これまでで一番悪い“笑”顔)
* * * * * * * * * *
それにしても、不味い処を見られてしまいました―――けれどまあ、吹耶の言うように私達3人は一つ屋根の下(同じアパート)の一室に同居していると言う間柄、バレてしまうというのも無理らしからぬと言った処でしょうか。
去年までは『1個10円』でバラ売りしてるちぃちゃなチョコ一つで一喜一憂している兄さんを見れたものでした。 そんな兄さんを見るにつけ、昔の様に可愛がってくれるものと淡い期待をしたものでしたが…あの男と来たら一口であのチョコを食べてしまって、それからは何もしないまま―――1か月後の『ホワイトデー』でも、リアルに何も返さないまま…だったんですが、ゲーム内ではそうした日用に運営が用意したイベントで“出る《ドロップする》”というレア・アイテムを私に……
うん―――私はこう言うのは望んでいなかったんだけどなあ…せめて現実で“仕返し”でもいいですから『1個10円』のホワイトチョコの方が何倍も嬉しかったと言うか…だから今年は『兄さんには何もやんない』ぞと固く誓ったモノなのに―――そんな決意を新たに固めた私の目の前に、なんとあの姉妹が高級洋菓子店でナニヤラを買い漁っている姿が!
「これで、よし―――ウフフフ…竜児様喜んでくれるかしら。」 「クリスマスでは思わぬ
「ええ…殊の外
「“あの女”も強敵ですが―――目下の処注視しなければならないのは竜児様の実の妹とシェラフィーヤ様でしょう…なにしろ同じアパートに同居していると言うのは、ある意味でも私達よりも強いアドバンテージを有しているのですからね。 あの2人は私達姉妹ですらもお金で買えないモノを既に手に入れているのです。 ではその足りない部分をどこで補うか……幸いにも私達には“財力”と言うモノがあります。 多少、卑怯とは思われようとも竜児様の気を引くためならば“財力”と言うモノが必要―――多寡だか『1個10円』のモノと、“
う…むむむうう~~~
* * * * * * * * * *
うむう…それにしても姉さまはこれまでにもない気の入れ込みようだ、私もうかうかとはしていられないな。 しかしそれにしても迂闊だった…あのゲームでは竜児達と知り合って一党まで作ったと言うのに、なぜか
あの頃のシェラフィーヤは……何と言うか……こう―――可愛かった…うん。 その本来なら“女”である私は、あのゲームの中では“男”、そうした部分もあったからなのか、『幼女魔王』シェラフィーヤを愛でようとしたのだ。 それに、妙にアベルに懐いていたものなあ~~~そこから、そう―――思えばそこからだったような気がするな。 とは言え、初めて“製菓”と言うモノに手を染めてみたものだったが、これがまた如何ともしがたく―――難しいものだなあ~…。
以前のクリスマスでは、『お菓子(チョコレート)を
……などと、不遜なる私の妹である巴惠はそう思っている事でしょう。 ええ…悔しいけれど全く以てその通りよッッ! しかしとは言っても、この私も“家庭科”的な事が全滅な女ではないのです。 現に、私がフアンでもある『デストロイヤー・レイナ』(本名なんて言ってあげない)の為にも、と、計量明けのスタミナ回復の為のお弁当を拵えた時には上手く行きましたのに…ねえ? 普段から気紛れ同然で作ったりするお夕食等は、ここの処“全敗”―――両親や巴惠からは『お前は絶対にお台所に上がるな』と言われてしまう始末…。 何が―――何が一体いけないと言うのでしょうか…“レシピ”とやらに従ってはみるものの、そこで何か物足りなさを感じ、アレンジしてしまうのがいけなかったたのでしょうか?(←ダウト《その通り》)
だと言うのなら、そうした点を踏まえて反省をし、竜児様に捧げるこの
ですが―――母さまからはよくよく言い聞かされてきたモノでした…
「よいですか、靜香に巴惠。 いずれあなた達の前にも意中の殿方が現れる時が来るでしょう。 その時が来たならあなた達の手で尽くしてみせなさい。 そうすればあなた達の事を『源野家の娘』―――としてではなく、一人の女性として見てくれるでしょう。 それとね、殿方の胃袋を掴んでしまえば、それはもうこちらのモノ…あとは割くなり
母さま―――靜香は今、悟りましたッ! そう、ここが正念場……私以外の数多の敵を蹴散らすべく、私は奮起…一層奮励努力すべしなのです!
フッ…フフフフーーーーそれにしても、一人の意中の殿方の胃袋を鷲掴みにするのがこれほどまでに困難なモノとは…これでは下天を掴む事の方がよほど容易いと言った処のようです。 それに―――“もう一つ”の仕込みの方も…(誰が何と言おうとも、の、悪い“笑”顔)
* * * * * * * * * *
ふ、う……まあこんなものですかしらね。 現在から2ヶ月前に思い知らされたことではありましたが、このわたくしの夫である竜児様の、恋のルゥアアイヴアルのなんとまあ多い事か! 特に警戒すべきは、やはり…の“あの女”―――源野靜香。 いつもいつもゲーム内に於いてはわたくしと夫の仲を邪魔立てしてくれる“お邪魔蟲”―――しかもゲームの世界から戻ってきたら戻ってきたらで、目に視えて邪魔をしてくれおってええ~~~! アラヤダ…コホン、わたくしとしたことが……しかし今回のヴァレンタイン・チョコ作り、思ったよりも難しいのですよねえ~。 あ、かと言ってえ、靜香みたく“家庭科”的な事は壊滅的ではございませんのよお~? だあってわたくし、一人暮らしですから。 しかも!現役女子高校生にして現役のプロ・スポーツプレイヤー、“女子”と言うムエタイ界に於いても非常に稀なこのわたくしは、自慢じゃあござあませんけれども“家庭科”的な事は自信がありましてよお~っほっほっほ!
―――とまあ、そんな事はさておき…このチョコ作りが難しいと言ったのは、何も作り方などではなく、ほらあ…わたくし先程も申したようにプロのスポーツプレイヤーなのですよね。 なので、健康管理―――殊の外体重だとか、体脂肪率だとか、血中糖分濃度だとか…そう言うのに
そこへ行くと―――の、この“お菓子”…“お菓子”とやらは、まあわたくしもたまには口にしますが、それでも摂取糖分だとか―――摂取塩分だとかで制限されるため、甘すぎるのはダメですしねえ…。
そこでわたくしは考えました。 “甘い”だけがチョコレートではない、日頃買い物に訪れるご近所のスーパーで見かけるのに、“苦い”チョコレートもあるのだと。 ええ、わたくし知ってしまったのですよ!チョコレートの原材料である“カカオ”とやらには、本来“苦味”の成分があるのだと言う事に!
うっふっふっふ~?さあさ、わたくしの愛しの旦那様あ~?この“苦さ”をわたくしの“
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そしてバレンタイン当日―――オレは体調に不良を覚えて、学校を欠席した……
くっそおおお~~~う、何でこんな事に?日頃は不摂生などした覚えはないのに―――(とは言え、平日6時間、土日は10時間以上ゲームのプレイに費やしていると言うのは、最早“不摂生”の域を超えているのでは?) なずえか前日オレの身に、身に覚えのない悪寒が
―――うん、いや、お為ごかしはよそう。 オレはこの原因が“何か”は判っている。 そして『オレを狙っている』という正体にも心当たりがある。 そう―――あいつらだ!!
うん、嬉っすいいーーーけど、ちょーメーワクデス! あいつらがオレの事を想ってくれているのは嬉しいですよ?だって去年までは『安倍は女の敵』とまで言われたもんなんですもん。 だが、今年は一味違う―――これまで一党のヤツラはその心の奥底に押さえつけさせていたモノを一気に解放した、現実ではないゲームの世界で今までは一党の仲間内でさえも語らなかったオレへの想いを一気に解き放ったのだ! これまでは、異性の関係は妹の乃亜くらいしか知らなかったオレだが、この一年で『地域のお嬢姉妹』や『史上最年少の世界王者』、『オレがゲームで憧れてたキャラクター』達からその想いの強さとやらをぶつけられてこられたのだ。
その事自体は大変喜ばしい―――寛容に受け入れてやるべきだ。 だ・が・し・か・し―――その想いとやらは、“強さ”の外にあまりよろしからぬ気の波動を纏い続けていたんデスヨネ~~~それが巡り巡って『恋人達の最大のイベント』に―――ですか…ちいっくしょおお~~~嬉すいが、これじゃ『ありがたメイワク』だっっつーの!
しかもさあーーー今日の、あいつらの表情…オレが体調不良で学校に行けないと知った時の、少しガッカリとしたような表情―――正直申し訳ないとは思っている、オレもここまで“恋愛耐性”が無かったなんてなあ~~~思いたくなかったぜ。
* * * * * * * * * *
まさか―――私達の悪い気に中ってしまって、兄さんが体調の不良を訴えてしまうとは…これでは本末転倒と言うヤツですよね。
「それでは兄さん、大人しく静養してて下さいね。 学校が終わったらすぐに戻りますから…。」
あんな事を言ったものの…………なんか良かったなああ~~~弱弱しくなった兄さん見るのも♡ 常日頃は妹の私にでもセクハラ行為を厭わない下衆な兄ですが、そんな兄さんでも私の事を可愛がってくれていたのです。 “女性”で“年下”で、そんな者に対し強者ぶる兄さんは外道中の外道ですが、そんな兄さんでも時たまに私に優しく接してくれるんです。 だからこそこうしたイベントで―――今まで受けた“仇”を“仇”で返すのは当然じゃないでえすかあ~? おっと、勘違いしないでくださいねえ?私の場合は“怨情”と書いて“あいじょう”とルビを振るのデ・ス・カ・ラ!
私の竜児が―――あんなに弱っている…ウ・フ・フ・フ・フ―――まさに狙い通ぉ~り!常日頃私の事を、やれ『ポンコツ』だの、やれ『ヤラカシ』だのと謗ってくれたお礼、今こそ雪いでくれるわ?!
なあ~~にせ私の
そう―――今の竜児様は総てに於いて弱くなっている!つまり“判断力”も!!まだ“早計”―――とは思いますが、この機に乗じ一気に陥落させてしまうのもいいのかもしれませんわねええ~?
わたくしの“夫”である、竜児さんが体調の不良で学校をお休みとの事だった―――その事を聞きつけわたくしは即座に思い立ったものだ。 この機に於いて『婚約届』を作成するまたとない機会だ、と!! ふっふっふっふ、これでようやくわたくし共は、“仮初めの”―――ではなく、“正式に”夫婦となるのですわああ~?
そして靜香よ、
* * * * * * * * * *
竜児が、本日この日体調の不良を訴え学校を休んだらしい―――私はその事実をあいつの妹である乃亜から聞いた。
日頃のお世話にと、折角チョコレートなるものを作って手渡そうとしたんだけれど…自分で作ったものを自分で食べる―――なんてシュールもあったものではないわ。 それにミリアム様から言われたからねえ~~~『日が日がなあやつのお世話になっているのだろう、ならばその礼に今回は良い機会ではないか。』と……
う゛~~~私はあんな
そして放課後―――私は竜児達が住むアパートの部屋の前に立っていた。 あんな男でも……一応は男―――わ、私って異性の住む家だとか、部屋だとかに上がるの、これが“初めまして”なのよねええ~~~?はあーーー緊張する…
それでまあ、取るのも取り敢えず部屋の扉をノックする私―――
『はあーーーい、今出るよ…』
「―――って、何だお前、真実じゃねえか。」 「(ほわっ?!)なっ―――『何だ』とは何よ…ご挨拶ね。 それより…元気そうじゃないの。」
「あ゛ーーーまあなんだ?『体調の不良』とは言え風邪ひいたわけでもないしな、それより何しに来たんだ。」 「い、いいじゃない別に……私の知り合いが体調の不良で学校休んだって聞いたから―――その…お見舞いに来てあげたのよ!悪い?」
「(は、はあ~ん?)ま、折角きてくれたんだ―――上がれよ。」(ニヨニヨ)
う、う、う~~~っ…意識していない―――とは言え、なんだか緊張してしまうわね。 しかも今の私の
「そーーー言えば、お前と乃亜は同じ学年の同じクラスだったよな。 あいつ一緒じゃないのか?」
「へっ? あっ、ああーーーその事に関しましては~乃…あ、安倍さんは職員室に呼ばれてたみたいでーーー」
「はあ~ん…そう言や、来年度の春の大会がどうとか言ってたなあーーー」
間が、持たない…お互いにな。 オレは今でこそ、あのゲームの世界で『人中の魔王』などと呼ばれている強プレイヤーの一人に数えられているが、こと恋愛に関しては最弱なのだ。 なので今の状況の様に、広くないアパートの一室で男と女が二人きり……こんな状況の中で恋愛強プレイヤーの如く振舞えるものだと思ってほしくない。
しかもこいつ―――黒江崎真実ことエメスも、ヴァンパイアの魔王の一人娘だろうに
うおおおのれええ~~~真実め! 私が職員室に呼ばれてしまっている
「只今戻りました―――兄さんだいじょう……ぶ?」
「あ…乃、乃亜~~~助けてえ~? ここに―――ここに…魔王が4体も!!」
「う・ふ・ふ・ふ・ふふーーーさあ~さ竜児様あ~?この私特製の“精力がつく”チョコ―――お食べあそばせえ~?」
「なあ~にを言ってるのかわーかりませんが、わたくしが作ったチョコこそが世界一いぃぃ!…なのですわあ?」
「ふっ、どうだ竜児よ美味しいか?美味しいであろう!あのゲーム内では私は“男”だが、こんなにも“女”らしい事が出来るのだぞお~う?」
「小娘達いぃ~~これで私の竜児をどうにかしたとは思わない事ね! それより竜児い~?私“特製”のチヨツコレイトはどうよ?甘ぁ~くほろ苦ぁ~く、ほんのちょっと甘酸っぱいでしょ?」
そこには、口にいくつものチョコを詰め込まれ、鼻血を吹いて悶絶している兄さんの姿があったのでした。
「オレ…もう『バレンタイン』とか『チョコレート』とか……コアイ」(竜児談)
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