第16話じぃじと息子くんとおっきいばぁば
バスを乗り継がないと行けない距離、地下鉄なら長い階段を登らなければならず、初めておじいちゃんに会いに行けたのはベビーカー無しで歩けるようになった一歳の頃。
ママが育った場所でもあるのだけれど、当時あったものはすっかり変わり駄菓子屋があった場所には大きなホームセンターが建ち、ママのおじいちゃんが良く通っていた酒屋はコンビニエンスストアになっていたり、ママにも目新しく感じながら息子くん初めての遠出となりました。
「じぃじ?」
そう聞く息子くんに「うん、じぃじに会いに行くよ」と答えると嬉しそうにバスに乗り、流れる景色にはしゃぎ降り立ったバス停でバテてました。ママは懐かしさに暫く景色を堪能し、そこから歩いて結構な距離をヨチヨチ歩き途中途中休みながら歩いていくと、懐かしき我が育ちの家が見えてきた。
ママはじぃじとあまり仲も良くなければ悪くもないという具合いなのでなんとも。
とはいえ、どうしても行かなければならないそう思い足を運んだのは、息子くんの曾お祖母ちゃんに会いに行くためでした。
寝たきりの曾お祖母ちゃんの介護をじぃじは独りでしていたので。
扉を開けると息子くん、ママの挨拶を真似て「こんににわ」と頼りない挨拶。じぃじはにこやかに迎えてくれました。ええ、息子くんにはとてもにこやかでしたね。息子くんには。
「おばあちゃんは?」「隣、顔出したれ」そんな短い会話をし息子くんを連れて曾お祖母ちゃんと対面。
「おばあちゃん、息子くんやで」
うんうんと小さくなった手を息子くんに伸ばした曾お祖母ちゃん、ママの事もわからないけど多分ママの小さい頃と間違えてるけど、それは良い。
「おっきいおばあちゃんやで」
息子くんにそう言うと不思議そうな顔をしながら伸ばされた手に小さな手を伸ばし指に触れて息子くんニッコリ笑顔。
暫く話をしてじぃじの部屋に引き上げると、じぃじはママほっぽって息子くん連れてコンビニエンスストアにそそくさと。残されたママは一体どうしろと?
小一時間程して山盛り菓子を携え、肩車で帰ってきた息子くん。じぃじはにこやかに「コンビニにはいい玩具ないから今から買いに行こか」とか言い出す始末。ママのストップは聞き入れられず、カートに積み上がる玩具たち。
「いやバスで持って帰られへんやん」「じぃじがタクシー出したるから気にすんな」「いや気にするし」「じぃじ!コレも!」息子くん、ここぞとばかりお買い物。
そうして日帰りのじぃじのお家までの小旅行は終わりを告げたはずだった。
帰宅し息子くんを着替えさせていたらポケットからヒラリと落ちた小袋。「おとしだま」と書かれた小袋を見てママの顔が青ざめたのは言うまでもない。
じぃじ、ママには厳しかったけど孫にはハチャメチャに甘々過ぎた。
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