第38話 食事会?

「なぁ、ユウヤ、何で披露宴みたいになっているか教えてくれるよな?」

席に座った瞬間、倉田がやって来て睨みつけてくる。

「俺にもよくわからなくて・・・やっぱり普通の席に座ります。」

俺が席を立とうとするとチカが手を繋いで立てないようにする。

「倉田さん、ゆうちゃんと私はここに座ってますね。」

チカはにこやかに倉田に告げる。

「いや、チカこの席配置は誤解を招きかねんからな、ユウヤは別の席に。」

「誤解は招きませんから、大丈夫です。

それより倉田さんも席に座ってくれますか?」

チカはにこやかに話しているが声の所々に力がこもっており、倉田を迫力で圧倒していた。

  

「チカがいいなら構わんが・・・ユウヤ勘違いするなよ。」

俺への圧力はきついものがあった。


「さて、みんなも揃った事だし、ユウヤとチカの披露宴・・・もとい、社員旅行の宴をはじめる。

異議のあるものはこの場にて申し出よ。」

「おい!こらおっさん!何か色々おかしいよな!」

「異議はないようだ、では、二人の・・・組の門出に祝福を。

カンパーイ!」

「「「カンパーイ!!!」」」

おっさんの悪巫山戯もありつつだが何とか無事?乾杯が行われた。


「ゆうちゃん、これ美味しいよ。食べてみて。」

チカが差し出してきたケーキをそのまま食べる。

「美味いな、チカ俺のも食べるか?」

「うん、あーん。」

チカが口を開けて待つので俺はケーキをとって口にいれる。


「おおーっと、ここで二人の熱いファーストバイトが行われたぞ。」

リョウの言葉で視線が再び集まる。

「いや、そんなんじゃなくて、リョウてめぇ!」

「今の模様はちゃんとBDにおさめてあります。興味のある方は購入お願いします。」

「リョウ、どうやら白黒つけなきゃいけないみたいだな。」

「おいおい、新郎さん、新婦さんをおいてはいけないなぁ、ほら。」

リョウの言葉で振り返るとチカが何故か再びケーキを食べさせようとしている。

「チカちゃん待った、今はまずいだろ?」

みんなの視線が集まっている。

「あ、あ〜ん。」

チカは顔を赤くしながらもケーキを差し出してきた。

「あーん。」

俺は空気を読んで食べるしか道が無かった。


カシャ!


リョウが何故かいや当たり前のように写真におさめる。

「てめぇ、消せ。」

「甘い!既に同級生に転送済みだ。」

「何て真似をしやがる。」

「くくく、堅物だったお前が中学生に翻弄されているとはな。」

「やかましい!」

俺はリョウと取っ組み合いを始める。

だが・・・

「チカに手を出すたぁふてぇ野郎だ。」

倉田のボディブローを喰らって俺は意識を飛ばしたのだった。

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