第28話 お店へ突入

次の日曜日、みんなで織田次期当主の店へ行く日、高山さんが風邪を引いた。


高山母:「ごめんなさいね、利子ちゃん。新しいお店の開店日に娘が一緒に行けなくて。」


私:「いいえ。」


高山母:「娘は、自分が行けないからって、利子ちゃんにお店に行かないように言ったのよ。困った子ね。利子ちゃんは、気にせず、行ってらっしゃいね。」


私:「はい。ありがとうございます。」


その後、お店の近くに高山さん以外が全員集合した。


高山さんがいないことを聞き、瀬田先輩と牧村先輩が不安を口にした。


瀬田:「彼女がいないなら、行かない方が良くないか?何かあったとき、とっさに対処できないだろう。」


牧村:「そうよね、瀬田君。このまま考えも無しにお店に行っても、危ないものね。」


瀬田:「俺たちは、一旦抜けるよ。利子ちゃん、無理しないように。」


芝山先輩も、お店に行くか悩み始めた。


芝山:「瀬田が行かないなら、どうしようかな。細川さんは行くのかい?」


細川:「私は行きますよ。でも芝山君は来ない方が良いかもしれなくよ。織田家は芝山君の家の大株主。何かあったとき、お父様にご迷惑が、かかりますわ。」


芝山:「そうだね。利子ちゃん、僕も今回は遠慮するよ。細川さん、気を付けてね。」


細川:「ええ。気を付けますわ。」


私:「じゃあ、古ちゃん、蒲生さん、細川さん、行きましょう。」


蒲生:「大丈夫?利子ちゃん。高山さんがいないと危なくない?」


私:「大丈夫よ。おばあちゃんにあれだけ逸話を聞かせてもらったんだから。」


細川:「そうですわ。さあ行きましょう?」


そして、お店に入った途端、私、細川さんは、古ちゃん、蒲生さんは四か所に分散させられた。


細川:「これはどういうことですの。人の波が押し寄せたと思ったらみんながバラバラに・・・。」


蒲生:「利子ちゃん、みんな、どこ行ったの?」


古田:「利子先輩、先輩?私、迷子みたいです。」


そして、私の後ろから、織田次期当主が声をかけて来た。


織田:「利子。とりあえず、付いて来い。」


私は黙って、織田次期当主の後にを付いて行った。


そこにいたのは、織部ルケン・織田家当主だった。


織田父:「君が、利子君か。なるほど、確かに君の祖母に似ているな。」


私:「おばあちゃんを知っているの?」


織田父:「以前、逸話を聞かされたからな。だが、来なくなった。もうすぐ寿命だろうからな。」


私:「えっ?」


織田父:「なんだ、知らなかったのか。まあ良い。さて、私達は帰るとしよう。森君、行くぞ。」


森:「はい、旦那様。それでは、若、これで失礼いたします。」


織田家当主と森と呼ばれた二人が、部屋を出ていった。


部屋には私と織田次期当主の二人になった。


織田:「さて、逸話を聞かせてもらおうか、利子。」


私:「そんな、おばあちゃんが寿命なんて。そんな話、聞いていない。」


織田:「俺も知らなかった。あのばあさんが寿命だとはな。まあ、俺には関係ないがな。」


私:「おばあちゃん。」


織田:「逸話どころではないようだな。今日は、森さんに手伝ってもらっているし、俺の実力で、お前たちを分散できたわけではないしな。利子、今日は帰っていいぞ。」


私:「えっ?」


織田:「俺は実力で、お前を倒したいからな。帰れ、帰れ。ばあさんによろしくな。」


私は解放され、お店の外に出た。


そして、みんなにおばあちゃんの話をした。


細川:「寿命?何かご病気でもしておいでですの?」


私:「わからない。ぜんぜんわからない。」


蒲生:「利子ちゃん、とりあえず帰ろうか。」

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