第17話 「「「「「おおっ!」」」」」

 今回は、どうして、わたしがこんな目に遭ってるのか……?

 美亜ちゃんが、この日招集したのは自分を含めた、いつもの六人の友人たち。

 こんな大所帯で、図書室を占拠したら迷惑だろ? ほら! カウンターの奥にいる図書委員たちも、胡散臭げな視線を向けてるじゃねぇか? どうして、引きずられるように連行されてきたわたしが、ペコペコと頭下げてなきゃいけねぇんだよ!



「さて、二年生の最初の定期テストが始まるわけだが……」


 美亜ちゃんが立ち上がり、いちおう小声(図書室だからね!)で五人に向かって囁いた。囁いてんだから小声(図書室だからね!)に決まってんだろ! とか言わないでね。


「そこで……だ。みんな……、去年より成績を上げたいとは思わないか?」

「「「「「おおっ!」」」」」


 君たち、そういうところはノリがいいな。ひとりずつは小声でも、五人揃ったら大声になるんだぞ。ほら! 図書委員たちが睨んでる。

 わたしの頬が引きつっていることなどお構いなしに、美亜ちゃんが続ける。


「よしっ! みんな、思うところは一緒だな。この一月ひとつきで、真琴まこと莉緒りおは痛感しただろ? ひなに教えてもらう有効性を!」


 ふたりが揃って大きく頷いてる。男子三人の瞳が、一瞬輝いた気がしたよ。


「それでは、ひな課長、お願いします」


 誰が課長だって? まったく、刑事ドラマ(*1)に感化されすぎだよ、美亜ちゃんたら。

 みんなの前に、わたしが仁王立ちして。


「必ずっ、犯人ホシげるっ! うふっ♡」


 美亜ちゃんのノリにつきあってあげたのに、拳骨が落ちてきたよ! 解せぬ!



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 もう1話続く! この秘密結社構成員たちの真の思惑が明らかになるっ! かな?




(*1) 元ネタは、今シーズン、ユーモアミステリーと化して、ちょっと残念な『警視庁 捜査一課長』である。

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