第2話
花火、祇園祭、夜店などは人目に触れるから全部だめだと庸二さんは言う。
「それじゃあ、どこにも行くところがない」
私、岬カンナは膨れて答える。いつもこの会話でもめてしまう。
「人がいない場所ならどこでもいい、知り合いに出会わない場所。琵琶湖にしようよ」
「カンナ、少し、渋滞するけどいいか」
庸二さんは私と視線を合わせないようにしてハンドルとナビだけ見てアクセルに脚を載せる。私はまっすぐ前を見てうなずいた。この時間は琵琶湖に行く人はそんなに多くない。むしろ午前中の早い時間は国道一号線は渋滞で進まない。
私は比叡山のお化け屋敷に行きたいと言おうとしていたが遮られた。
「今日はそんなに時間がないんだ」
「うん、わかった」
私の思いは伝わらなくて、もどかしくて、時間の流れとともに消えていった。
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