第12話 一理ある。
わたしとライオネルの交互の説明で、
「とりあえずは納得したけどぉ……一応は納得したけどぉ……」
リリーナさんは、しぶしぶだけど納得してくれたみたいだった。
でもよりにもよって、わたしとライオネルが恋人関係だなんて誤解するなんてね。
親しい人にそんな勘違いをされたら、ライオネルがイヤな思いをしちゃうのは間違いない。
だからしぶしぶでも、リリーナさんには納得してもらわないといけないのだった。
こう見えてわたしってば割と空気の読めるタイプなので!
だけど話が一段落した――と思ったら、
「ところでこの部屋で2人は一緒に寝るんだよね?」
リリーナさんがまたもや突拍子もないことを言いだした。
「ほんとさっきから、なにをバカなことばっかり言ってるの姉さん? お嫁さんじゃないって納得してくれたんだよね?」
そんなリリーナさんに、ライオネルはもう半分あきれ顔だ。
「ええっ!? だってそうでしょ? ライちゃんは水龍さまのご機嫌をとるプロジェクトをパパから任された責任者だよね?」
「そうだよ? でもそれがどうしたのさ?」
「それでクレアちゃんはそのプロジェクトの中心人物なわけでしょ?」
「そう……なると思います」
きっとこれは、龍の声を聞くことができるスキルを持ったわたしにしかできないことだから。
「でしょう? だったら情報のやり取りは緊密にしないといけないし、コミュニケーションを高めるためにも一緒に生活するのが当たり前だと思うんだけどなぁ」
リリーナさんはどや顔でそう言った。
な、なに言ってるんですかリリーナさん!――って、わたしがそう言おうとした直前だった――、
「確かに言われてみればそうだね。姉さんの言うことにも一理ある。『同じ
――ライオネルが真面目な責任者の顔をして言ったのは。
「ふええぇぇぇっ!?」
もちろんわたしはビックリ仰天する。
だってさ!?
一緒に住むってこの部屋にってことでしょ!?
わたしとライオネルが?
一緒に住むの?
ステイホームしちゃうの?
だってわたしたち、女と男だよ!?
だってそんな、だってそれ、ど、どどど
突然の展開にわたしがあたふたしちゃってると、
「クレア、ここでボクと一緒に住んでもらえないだろうか?」
ライオネルがすごく真剣な顔をしながらそう言ってきたんだ。
何度も言うけどライオネルは王子さまで、イケメンで、イケボで、サラサラの金髪で、透き通るような蒼い瞳で、高身長で、すらっとしてて、立ち居ふるまいが優雅で、言葉遣いもジェントルメンで、すごく優しくて、笑顔がとってもチャーミングで、リリーナさんみたいな綺麗なお姉さんがいて、真剣な顔は見てるだけで胸キュンな、ステキな男の人なんだもん。
「えっと、その、お願いします……」
わたしがホワーってなっちゃって、言われるがままにオーケーしちゃっても仕方がないよねっ!?
とまぁ、そういう言うわけでして?
わたしとライオネルはまさかのまさか!
昨日の今頃はいきなりリストラされちゃった上に、国外追放までされたっていうのに。
今はなんと隣国のイケメン王子さまと王宮で同棲することに!?
人生は山あり谷あり。
世の中ほんと、何が起こるかわからないよね、うん。
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