『資料』



『バジリスク=オルム』


 脅威度:B~A

 基本属性:土・水〈特筆:左記混合性の呪属性〉

 種族基本変遷:(幼体) → (成体)

 ※危険指定個体『ネームド:オルム』の原種と考えられる種の一つ。


 補記:ミミズと蛇の中間種的特徴を持つ魔物。胎内に呪詛臓器を持ち、非常に長命。またこの個体は、成体に至るまでに、平均値として胴体直径30cm、体長65kmまで成長する。

 幼体から成体までの成長を「種族基本変遷」と定義する個体。卵生である点は基本爬虫類としての生態的特徴だが、この卵が「透明である」点は非常に特殊である。幼体は、生まれた際にこの「透明の卵殻」を摂取し上記に確認した「呪詛臓器」を獲得する。なお、この卵殻の触り心地はスライムやゼリーに近い。これをヒト種が摂取した場合には全事例において即座に死亡が確認されている。

 また、上記「呪詛臓器」とは、多く混合型呪属性の魔物が持つ「毒性生物が持つ体内毒のように、体内に呪詛を生成する臓器」であるが、この個体は、幼体においては直径1mほどの球型臓器を持つのに対し、成体に変遷するまでにこれは循環器官に変わる。これが、種族基本変遷の定義に生育段階を用いる根拠である。

 なおこの種は、幼体時点でも胴体直径10cm、体長2kmほどとなる。上記球型臓器は身体のおよそ中間地点にあり、幼体の外見はこれにより非常に歪なものである。



 特記事項:この種が持つ呪詛毒について。


 バジリスク=オルム種が持つ毒はあらゆる呪詛毒性生物のうちでも特に害性が強い。この毒について、幼体では主に魔眼の魔術効果の成立リソースに、成体においては先記に加え体液の毒性に反映される。

 幼体成体共に確認されるバジリスク=オルムの魔眼は石化の呪いを発露する。これは、「バジリスク=オルムと目が合うこと」が発動のキーである。ただし、成体した個体においては「バジリスク=オルムの視線を実感する」のみで効力が発揮されるケースも確認されている。この石化の呪いは、石化解除系統のクオリティ:B以上の薬物ないし加護薬物を被石化対象の表面に振りかけることで解呪及び石化の解消が可能である。また成体した個体の持つ体液の毒性は「上位毒」の定義であり、特に発揮効果にランダム性を持つ点で特殊である。なお、これはこの種の呪詛臓器が生成する「呪」が無彩色属性であることに起因する。(※無彩色属性の「呪」は、被効果対象が想像する「嫌悪する効果」を発揮するものとされる)また、このアトランダム性のため、体液呪詛の解呪における確立した方法論は確認されていない。

 この種が無彩色属性呪詛を獲得した理由は、種存続戦略によるものであると推測される。この種は、成体まで成長した個体があらゆる要因によって損失した時、この無彩色属性呪詛を純粋な魔力エネルギーに転嫁し、上記備考項に確認した「透明な卵」を生成する。これは卵生生物における有精卵的な振る舞いをする物質であり、この発生した「透明の卵」からは新たなバジリスク=オルムが発生する。これについて、この生態が「転生」に当たるものであり発生個体が「親」の同一個体である可能性が現在までに提唱され、その生態の術式転用の可能性から解明が急がれている。


 出現事例

 バスコ王国ストラトス領ジルハ街道。

 死者八十余名。この内一名はストラトス領の当時の領首である。(当該記事に詳細)』

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