大国主大神と水の精霊との出会いの話
三枝 優
第1話 大国主大神と少彦名命、日の本の国を来訪する
青い海。
見渡す限り青い海と水平線と空。
海の真ん中に、大きな丸太が浮かんでいる。
よく見ると丸太には2人の人間がまたがっていた。
「なぁ、そろそろ代わってくれよ〜」
「まだ、大して進んでないじゃないか?」
すると不満げに疲れたと言って、足をバタバタと振る。
「え〜疲れたよ~、距離じゃなくて時間で交代にしようよ〜」
文句を言っているのは金髪ストレートの長髪で黒い瞳の小柄な少年。
名はカイという。
「もう・・ちゃんと本気でやってる?」
落ち着いた声で答えたのは、背が高い天然パーマの黒髪で鳶色の瞳の若い青年。
名はヒロという。
「え〜やっているよ〜」
カイが答える。
彼らは、高句麗より対馬を経由して日の本の国と呼ばれるところを目指している。
そこに行く理由。大した理由はない。
ただ、その国には卑弥呼と言う呪術を使う女王がいると聞き、見てみたいとの好奇心だけだった。
「ホントかよ?まあいいけど。じゃあ交代するよ。つかまって」
それを聞いた少年は、にっと笑って丸太にしがみついた。
青年は指を2本立てて目を閉じる。
やがて・・大きな水しぶきを上げて丸太は爆走を始める。
まるで、空を飛ぶような速度。
彼らは魔法使いであった。
丸太にまたがり、魔法で進んでいく。
二人はいつも、そうやって海を渡っていくのであった。
半日も立たずに丸太は陸地に到着した。
丸太から飛び降りる少年。
「到着〜!どっちに行く?」
「さぁ?適当に東に向かおうか」
「いいかげんなんだから〜」
「いいかげんなのは、カイから伝染ったんだって。二千年も一緒にいるんだから」
カイはニシシと笑って言う。
「え~?僕はいいかげんじゃないよ?」
ヒロとカイ。
後世、この国において神話となる二人であった。
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