服飾ダンジョン4

 みんなでお店の話で盛り上がったけれど、そろそろダンジョンの攻略をしよう。お片付けをして安全エリアを出たら、28階へ下りよう。


 28階に下りると、白と黒の魔物が見える。あれは何だろう?


「あの白と黒のは何だろう?」


『あれはバクバッグくまね』


「バクバッグ? 白と黒……バクかな、なるほど」


『バクバッグぱんよ?』


「う、うん。そうだね、きっとバッグが出そうだね~」


『かじられるから気を付けるくまよ』


「かじられるっ!? き、気を付けよう」


 階段を下りきると、バクバッグが近くに見える。知っているバクは頭の方が黒いけれど、ここにいるバクバッグは頭の方が白くて、お尻の方が黒い。知っているのと反対な感じだね。


 でも、きっとバッグが出るはず! と思ってかじられる前にファイアアローで倒してみると、やっぱりバッグが出た。バッグは私が知っているリュックと少し違うけれど、背中に背負えるバッグだった。


 次のバクバッグを倒すと、今度は斜め掛け出来るバッグだった。ここでも色々なバッグが出るのだね~。

 そう思っていると、後ろから何か音が聞こえる。振り返ってみると、バクバッグが私をかじろうとしている。尖った歯が見えてかなり怖い……バクってそんなに怖く見えないのに、このバクバッグは凶暴っぽい感じでかなり怖い。


(この歯でかじられたら、絶対やばいやつだよね!?)


「ファイアアロー!」


 ぽふん! と討伐記録とバッグを落とした。シールドがあって本当に良かった……。


 みんなも次々に倒しているみたいなので、私もファイアアローを次々に撃って倒していく。アイテムを仕舞ったら次を倒しに行く。やっぱりまだ誰もここまで来ていないから、沢山魔物がいる。


 28階の魔物もいなくなって、アイテムも仕舞い終わったので29階へ下りよう。


「ここの階でバッグが沢山手に入ったね~」


『ふふ、楽しかったぴょん!』


『たのしかったぴよー!』


「ふふっ、みんな楽しそうに倒していたね」


『ぼくも楽しかったこん!』


『見ているだけで倒した気分ぱんよ』


「あはは、確かにそうだよね。気持ちの良い倒しっぷりだよね」


『くふふ、そうくまね。でもそれはハルもくまよ』


『そうこんね!』


「えぇ!? そ、そうかな?」


『そうぱんよ』


 29階に下りると、バクバッグの他にも魔物がいる。ひらひらマントみたいなのをしている感じがするけれど、なんだろう?


「バクバッグの他にいるの何だろう? なんかひらひらしてる?」


『あれは、コートゴートくまね』


「こーとごーと? ってことはヤギ?」


『コートゴートぱんよ~』


『コートを着ているみたいだからそういう名前くまよ』


「あのひらひらして見えるのは、やっぱりコートみたいなの着ているからなのかな」


(不思議な魔物が沢山でちょっと面白いね)


『あのひらひらで惑わせて攻撃するから、気を付けてくまよ~』


「うん、分かったよ。ひぃろ、ありがとうね」


 よし、早速戦ってみよう! コートゴートは目の前まで突進してくると、くるりとそのコートを翻して驚かされた。その隙に突進攻撃をされたけれど、シールドに阻まれた。


(うん、確かにあのコートを翻すのびっくりするね)


 ファイアアローでさくっと倒すと、討伐記録と男性用のコートを落とした。コートゴートはやっぱりコートを落とすのだね~。


 次のコートゴートを倒すと、女性物のコートを落とした。コート類色々落とすみたいなので、また倒す楽しみが出来た。可愛いコートも欲しいけれど、フード付きの上着を脱げないからコートがあっても意味ないかも?


 バクバッグとコートゴートを倒して29階のフロアを綺麗にする。ここの階も沢山の魔物がいるので、かなり時間が掛かる感じだ。なんとか全部の魔物を倒して、アイテムを仕舞い終わったら少しお茶をしてから向かおう。


 階段の近くの安全エリアで少しお茶休憩で、ブラウニーと紅茶を入れる。


「次で30階で最後の階層だね。何が出るのか楽しみだね~」


『そうくまね』


『いっぱい倒して楽しいぴょん!』


『ライチも楽しいぴよー!』


 少しお茶をして休憩をしたら、安全エリアを出て階段で30階に下りて行く。30階が見える所に来たら、あまりの光景にとても驚いた。


「またこのうじゃうじゃといる感じが……」


『凄い量くまね』


『大量なのぱん……サンダーレインした方がいいと思うぱん』


「そ、そうだね……そして巨大なコートゴートがいるね」


『そうぴょんね~。さすがにあれは大きすぎると思うぴょん』


『ハル、サンダーレインでたおしてぴよー!』


「うん、わかったよ~。サンダーレイン!」


 フロアに雷がいくつも落ちて、フロアのあちこちでぽふんぽふん! とアイテムをドロップしていっている。また倒せてないので、もう一度撃ってみよう。


「サンダーレイン!」


 またフロアに雷が落ちると、フロアが綺麗になった。


「全部倒せたかな?」


『倒せたみたいくまね~』


「なんだか今までの階層に居た魔物全部が居たような気がするよね?」


『多分そうぱんね』


『またアイテムが山のようこん!』


「また拾うのが大変そうだけど、みんなもお手伝いお願いね?」


『まかせるぱんよ!』


『がんばるこん!』


『がんばるぴよー!』


 風魔法でアイテムを中央に集めると、ドロップ品の山が出来た。あまりの多さに眩暈がしそうだったけれど、アイテムボックスに仕舞っていく。


「すごい量だね……」


『本当ぱんね』


『大量なのぴょん!』


『ぴよっ!』


『こんなに倒せるのが凄いこん!』


 なんとかアイテムを仕舞い終わると、もう疲れてしまったのでバングルのお部屋に移動して、今日は休もう。


 バングルのお部屋に移動すると、みんなはこたつでのんびりぬくぬくし始めた。遊具で遊ばないから、みんなも今日は疲れたのかもしれないね。


 私も大分疲れたので、錬金スキルでご飯を作っちゃおう。ラザニアとスープを作ろう。材料を出して、良く思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとラザニアとスープが出来ている。うん、疲れている時は余計に有難いね。テーブルに準備をして、みんなで一緒に食べ始める。


『トマトソースとこのホワイトソースが美味しいくまね』


「おいしいよね~。それにチーズがとろっとして良いね」


『おいしいぴょん!』


『ハル、おかわりぴよー!』


『ぼくも食べるぱん!』


『あっ、ぼくもこんっ!』


 みんなにお代わりをよそってあげたり、お話しながら楽しくご飯を食べたらお風呂に入ろう。


 お風呂に入ったら、みんなをブラッシングしてふわっふわのもふっもふになったら、クリーンを掛けてお布団の上でのんびりお話をする。


『ハル、疲れているけどお願いしたい事があるこん。いいこん?』


「うん、いいよ。どうしたの?」


『鑑定して貰ってもいいこん?』


「あっ、そうだね! もちろん良いよ!」


 名前:シフォン

 種族:特殊スライム(きつねタイプ)

 LV:51

 スキル:溶解、変化

 特殊スキル:九尾化


「わぁ、レベル51になってるよ!」


『やったこん! 特殊スキルはなにこん?』


「九尾化だって」


『きゅうびか?』


 スキルを良く調べてみると、九尾のキツネモードになるらしく、しっぽが9本になるんだって。さらに分身が出来るって!


「しっぽが9本になって、分身が出来るようになるみたいだよ」


『やってみるこん! 九尾化こんっ!』


 ぽん! と音がしたと思ったら、シフォンのしっぽが9本になっている。


(もふもふ……あのシフォンのステキしっぽが9本!? もう無理、がまんできなーいっ!) 


「シフォン、すりすりさせて~!!」


 シフォンの9本のしっぽにもふもふすりすりする。


(なにこのふわっふわ! 幸せ過ぎる柔らかさだよ~! はぁ、もうしあわせ……)


『ここんっ! くすぐったいこんよ~』


「気持ち良すぎてしあわせ~」


『ふふっ、分身!』


 シフォンがそう言うと、ぽん! と音がしてシフォンが9匹に分かれた。何その幸せスキル!


『でもね……ハル。ごめんこん……』


「えっ!? どうしたの??」


『ぼく特殊スキル覚えても使えるスキルじゃなかったこん~』


 そうしょんぼりするシフォン。こんなに幸せスキルなのに!?


「えぇぇ!? シフォンったら、こんなに幸せな気分にしてくれるスキルなのに?」


『ハルは嬉しいこん?』


「うん、もちろん!!」


『ハルがにこにこ幸せそうな顔してるぱんよ~』 


『ここんっ!? それなら嬉しいこん!』


「この九尾化凄いね~。可愛いシフォンが沢山いるなんて幸せ過ぎるね!」


『嬉しいこんっ! ハル、ありがとうこん!』


 あのふわふわでもふっもふのシフォンのしっぽが9本とか、幸せスキル以外の何物でもないのにね~。本当に気持ち良くてそのまま寝ちゃいそうなほどでした。


「ふふっ、みんなが楽しかったら良いんだよ~。私はみんなといられて幸せだもん!」


『くふふ、嬉しいくまね』


『私もみんな大好きだから嬉しいぴょん!』


『ぼくもぱん!』


『ライチもみんなだいすきぴよ!』


『ここんっ! ぼくもみんな大好きこん~!』


 みんなで幸せ気分でおやすみなさーい。明日はグラセリアの王都に帰ろうね。

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