第144話 高難度指定のレイドコンテンツに挑戦!

 姫からのご指名に、僕は思わず「はい」と返事をしてしまった。

 運営が魔王を早く倒すことを僕達に望んでいる。

 だから、姫は救世主である僕を名指しして来たのだろう。


 トラ猫協同組合から探索パーティを出すとなると、どういう編成になるだろうか。


「ネスコ」


 僕はギルドマスターに通信してみた。


<何だ?>

「いつ戻って来るんだい?」


 彼は調査と称して僕達からずっと離れたままだ。

 忙しくなければこうして通信の応答はしてくれる。


<もうすぐだ>

「ネスコ、君はNPCだから、この調査行動も運命というか定められた動きの一つなの?」

<そうだ。これはNPCである私にとっての通らなければいけないイベントだ>


 ……イベントか。

 救世主として僕が魔王討伐に動くことで、NPCである姫や亜人間にも様々なイベントが起こるのだろう。

 その一つ一つがゲームクリアに繋がっているのだ。

 パーティは同じギルドのメンバーでしか構成出来ない。

 だから、パーティを組むとしたら、同じギルドのフィナ、ガイア、そしてネスコか。

 ネスコはずっと調査に行ったままだから無理だ。

 となると、辺境にいるセレスとウエンディを呼び寄せて、これでやっとパーティの構成メンバーである最大人数5人か。


「う~ん」


 どう考えても厳しいな。

 壁役も居なければ、職業の組み合わせもバランスが悪い。

 フィナは戦闘向きでは無いし。

 セレスとウエンディはレベルが低い。

 ……って、治癒魔法使いが3人に、踊り子と妖術師って……。


「ユウタ」

「はい」


 そんな僕にリンネが話し掛けて来た。


「困っているのか?」

「う~ん、ラストダンジョンに行くのはいいんだけど、大丈夫かな」

「他のメンバーを死なせたくないなら、お前ひとりで行け」

「えぇ!?」


 突き放された。

 

「冗談だ」

「ほっ」

「私は地球アースのギルドマスターとして、を貸そう」


 リンネは自分のギルドからパーティを出すことにした。


「でも、二つのパーティで一緒に戦うことなんて出来るんですか?」


 僕は素朴な疑問を持った。


「大丈夫です。ラストダンジョンの攻略は『レイド』といって、上限はありますが複数パーティで挑戦出来るんです」


 レイドか。

 初耳だった。

 この世界の大規模なクエストは、レイドに分類されそれは今回の様に大人数での挑戦が可能らしい。


<救世主よ>

 

 不意に、アスミから通信が入る。


「何でしょうか?」

<私のギルドからもパーティを出そう>

「ありがとうございます」


つづく

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