第8話 パーティは5人より多い人数で組むことは出来ない

 パーティを組んでイタヲ村を目指す。


「パーティを編成する」


 ネスコが宣言する。

 ギルドマスターに指を差された者は、パーティに組み込まれる。

 パーティのメンバーはパーティリストに登録される。

 パーティリストには各メンバーのステータスが一覧表示される。


 一つのパーティに属することが出来る人数は5人が上限だった。

 5人以上のパーティを組むことも可能だ。

 だが、5人という数字を越えてパーティを結成してもメリットが無い。

 まず、この世界における集団魔法は5人までしか効果が無い。

 例えば、パーティ全員を治癒する魔法があったとして、それは6人目には効果が無い。

 もう一つは、ステータスの確認について。

 パーティを組むうえで、メンバー間でHPやMPの状況を把握するのは基本だ。

 状況の変化が激しい戦闘においては特に重要だ。

 そのステータスを同時に確認出来る上限が5人まで。


 パーティメンバーは5人まで。


 これは、この世界の摂理であり、誰もがそれに従っていた。

 だから、ギルドからパーティを編成する時は、メンバーの職業を観点にバランスを考える。

 索敵役の暗殺者。

 盾役の戦士。

 それを援護する武闘家、侍。

 真ん中に位置する攻撃魔法使い、妖術師。

 後方でコントロータワーを勤める治癒魔法使い、付与術師。

 職業は色々あるが、この辺が最もポピュラーだ。


 そう考えてみると、零細ながらも鉄騎同盟はバランスが取れていた。

 暗殺者のリンネ。

 戦士のタイチ。

 武闘家のナオシゲ(もう死んだ)

 攻撃魔法使いのセイラ。

 そして、治癒魔法使いの僕。


 ただ、僕の治癒魔法は分かりにくく、皆の意に沿えなかった。


 その点、トラ猫協同組合はどうだろう。

 盗賊のジギ。(リザードマン)

 戦士職のトウマ。(狼男)

 付与術師のネスコ。(猫男)

 踊り子のフィナ(エルフ)

 そして、治癒魔法使いの僕。

 ※ドワーフのテルミンは鍛冶屋なので、基本、戦闘には参加しない。


 ハッキリ言って、バランスが悪い。

 戦闘の基本は、索敵で敵を検知し、先手を打つ。

 壁役の戦士が前線で敵を食い止め、武闘家と侍で敵の牙城を崩す。

 その間に詠唱を終えた攻撃魔法使い、あるいは妖術師がダメ押しの一撃を喰らわす。

 後方の治癒魔法使いと付与術師は、メンバーのステータスに目を配り援護する。


 トラ猫協同組合のパーティメンバーの組み合わせには、必勝パターンというものが見えなかった。

 特に、フィナの役割が分からない。

 僕の不勉強かもしれないが、この世界で踊り子何て職業があることを、彼女に出会って初めて知った。

 困惑しつつも、僕はフィナがその緑色のツヤのある髪をなびかせながら、踊る姿を見てみたいと思った。


 そうこうしている内に、イタヲ村に着いた。


つづく

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