第2話 就職活動
僕は耳を疑った。
今すぐタイチとリサの間に割り込んで、この話をメチャクチャにしてやろうと思った。
だけど、踏みとどまった。
怒りよりも恐れの方が勝った。
僕なんかが飛び掛かっても、戦士であり最高の壁役でもあるタイチに返り討ちにされてしまう。
「さよなら……」
僕は踵を返した。
心は暗く、落ち込んでいた。
◇
歩きながら、僕はそっと『永遠の
『鉄騎同盟』の皆の顔がちょっと頭の中に浮かんで、少し後悔した。
だけど、もう遅い。
◇
ギルドホールから500メートルほど離れた繁華街。
そこには沢山の店が軒を連ねていた。
その中にいくつかのギルドホールが見える。
ギルドホールというのは、複数のギルドが入居する場所で、ギルドの規模に応じて部屋の大きさが違う。
もちろん大きな部屋を借りているギルドは、大所帯で沢山のメンバーを抱えている。
お金ももちろん持っている。
反対に『鉄騎同盟』の様な零細は、小さな部屋で細々と運営されていた。
ギルドは宿屋の一室でも掘立小屋でも、やろうと思えば出来る。
それでもギルドホールを借りるギルドは多い。
ギルドホールは費用は掛かるが便利さでは断トツだからだ。
ギルドにとっては何かと便利な施設で、共益費を払えば、共同で使える会議室も借りれる。(その他にもあるけど、それは後で語る)
僕はその会議室でクビを言い渡された。
「さてと……」
僕はその中の一つ、中くらいの大きさのギルドホールで歩を止めた。
入り口のプレートには、入居しているギルドが記載されている。
『トラ猫協同組合』
『魔王討伐血盟軍』
『センシティブ・メモリ団』
『自由商人』
:
:
10個のギルドが入居している様だ。
『トラ猫協同組合』名前が可愛いな。
『魔王討伐血盟軍』は、名前からして厳つそうだからやめとこう。
『センシティブ・メモリ団』は何をやっているところか想像も出来ない。
『自由商人』は、生産系のギルドかな。
生産系と言うのは、材料を集めて何かを作る人達のことだ。
商人ということは、それを売りさばいているのだろう。
工作ねぇ……。
得意だけど、今は……。
他にもあるが、名前から判断するしかない。
酒場に行けば、これらのギルドのメンバーと会えて話を聴けるかもしれない。
だけど、酒場が開くのは夜だ。
僕は、早くどこかに属して、落ち込んだ気持ちに空いた穴をふさぎたかった。
「『トラ猫協同組合』に行ってみるか」
僕は一歩踏み出した。
「ユウタ」
僕を呼ぶ声がして、歩を止める。
辺りを見渡す。
誰もいない……
「気のせいか」
僕は階段に足を掛けた。
その時、
「うわっ!」
僕は壁に押し当てられた。
僕の布の服。
その首根っこのところに手裏剣が刺さっている。
僕は張り付けになっていた。
「リンネ!」
僕の目の前には、暗殺者のリンネがいた。
つづく
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