第14話 幻の都

落日……

その光りは、カナル・グランデに

煌々と映える。

     

サンタ・マリア・デラ・マルテの

長い影を

名残り惜しげに 川面に映し、

   

今日も 落日を迎える。



夜の闇の訪れと共に

幻の都は 花開く。


ゴンドラからのもの悲しい 叫び声や

街路に流れる ギターのつまびき。


まさに 幻の都、ベネチア!


------

(独り言)

007シリーズで見た、ゴンドラに揺られながら美女とキスをするボンド。

とにかくすべてが様になっている、ボンド=ショーン・コネリーでした。

憧れであり、俺もああなりたい…なんてことは考えられない、そんな存在でしたよ。

そんな思いを抱いたのは、過去において一人だけ。

世紀の二枚目スター、アラン・ドロンだけでした。

バーのママさんに「めがねを外したら、アラン・ドロン似かも?」なんて言われて、有頂天になったものです。

ドバドバ、湯水のように金を遣っていたかも?

ある夜、ママが留守をしていた折に、店の女の子に「社会党の成田委員長に似てるわね。鼻が大きいところなんか」と言われて、目が覚めました。

ありがとう、霧子ちゃん(源氏名とでも言うのかな。店での名前ですが)。

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