第36話 戦争
――それから二日後。
俺はレスティアントを出るため国境付近にあるホルコヒに到着していた。悪いことにそのタイミングでレスティアントとファウドの戦争が始まってしまい、俺は町に攻め入ってきた傭兵団と成り行きで戦うことになってしまったわけだが……。
「――はあっはあっ……ぐっ!」
激しい戦火の中、俺は敵を前に膝をついていた。
見上げた先には左腕の無い巨漢の男。巨大な剣を肩に担ぎ、俺を見下げているその男の目はひどく冷たく、つまらなそうであった。
バーガング傭兵団団長、ディアルマだ。まさかこんなところで敵として再会するとは思っていなかった。
「いきの良いのがいると聞いてきたが、なんだ貴様か。ふん。ガッカリだな」
なにも言い返せない。俺はまったく歯が立たず、この男に負けたのだから。
ただ黙し、鞘に納まったままの刀を杖にして俺は静かに男を睨む。
「なぜ貴様が剣を抜かないかは知らぬが、人を殺せぬ奴が戦場に来るな。目障りだ」
巨大な足に顎を蹴り飛ばされ、俺の意識はそこで途絶えた。
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