第5話緊張した望菜美

昼休みになり、購買で焼きそばパンを買い、自販機でペットボトルの紅茶を買って屋上に向かう。

屋上の扉を開けると青空が広がっていた。

背もたれがない長いベンチに腰をおろす。

焼きそばパンが残り半分になった時、扉が開いて、駆け寄ってくる足音が聞こえた。

「牧平君」

「牧平さん」

俺に駆け寄り、声をかけてきたのは今日、登校している時に挨拶をしてくれた二人の女子。

彼女たちは息を切らしていた。

「どうしたの。佐藤弥生さんと火野望菜美さん」

「牧平君と連絡先を交換したくて、探したの」

「ああ、連絡先だね。いいよ」

俺は、彼女たちと連絡先を交換する。

「あっあのっ、牧平さん。メールアドレスも知り、たいです。嫌でしたら、無理にと......は」

火野さんは、緊張しているようで声がうわずっていた。

「嫌じゃないよ、火野さん。そんなに緊張しないで、火野さん。リラックスして、リラックス」

火野さんに笑いかける。

「あああ、はっははい」

メールアドレスも交換した。

「立ちっぱなしもなんだから、座ったら」

「いいの、牧平君」

「いいんですか、牧平さん」

「いいよ。火野さん、そんなさん付けしなくていいんだよ。あだ名で呼んでいいよ。さん付けされるよりあだ名のほうがいいんだ」

「あだ名なんて、牧平さんに失礼で...す。私なんか...おこがましいです。牧平さんは人気者ですし...」

「おこがましい、かぁ。失礼なんて思わなくていいんだよ。自分のことを私なんか、なんて言わないで。火野さん。今度言ったら怒るからね」

「すみません。牧平さん」

「せめて、くん付けにしてほしいけど...まあいいか。じゃあ、火野さん。いつか、莉久って名前で言ってくれたらいいなぁ」

「呼べるように頑張ります......」

彼女たちが俺の両側に座ったのをみて、話し出す。

火野さんの頭を優しく撫でる。

「ありがとう...ござい、ます」

「私も牧平君に撫でられたい。牧平君、お願い」

佐藤さんがねだってくる。


こんな感じで、仲よく話を続けた。昼休みが終わる5分前に一緒に屋上を後にする。

佐藤さんと火野さんは中学からの友達とのこと。

中学の時に好きな子が居たらしいが話しかけられないまま卒業式を迎えた火野さんだったらしい。この話を佐藤さんが話してくれた。

俺は、火野さんに一言言った。

「勇気をだして、言ってくれたんだ。ありがとう。大きな一歩を踏み出せてすごいよ、火野さん」

火野さんの顔が一瞬で赤く染まった。

他にも色々話した。

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