第198話 頼りになる先生

「さて、こんな所だが足りそうか?」


アロエ先生とのやり取りが終わり、一通りの自己紹介が終わったタイミングでドレッド先生がそう尋ねてくる。


「ええ、皆さん頼りになる方達のようなので存分に頼りにさせて頂きます」

「俺にはあまり期待するなよ?」

「それは難しいですね」


一見、頼りにならなそうな雰囲気を醸し出しているけど、恐らくこの学園において、現時点で最も頼りになるのはこの人だと俺は考える。


紹介された三人の優秀な先生達から慕われているというか、信頼されてる上に、話していても本来は物凄く優秀なのが分かるのでドレッド先生には頑張ってもらうことになるのは必然と言えた。


「やれやれ、厄介な生徒を受け持っちまったな」


ため息を着くドレッド先生だが、拒否する気は無いようで素直に頷く。


根は真面目なのだろうし、教師としても今の教育に思う所もあるので素直に従ってくれるのは助かる。


「では、早速ですけど、これからについて話しておきますね」


まずは俺が考えるレベルと世間一般のレベルの擦り合わせをしつつも、全体的に生徒のレベルを上げるためにカリキュラムを一新するために話を詰めていく。


新しい教材も手配を早めることにして、他の先生達の掌握や指導のためにドレッド先生、アズマ先生、リジェ先生、アロエ先生にそれぞれ個別に専門教科の知識を深めてもらうために前世の英雄時代の知識も用いて話をするけど、飲み込みが早くで驚かされる。


皆エリートと呼べそうなスペックなようで、これなら早急に俺の要求水準の教育にはなりそうで嬉しくなる。


特に、ドレッド先生とアロエ先生は凄まじい程に覚えが早くて、驚くけど、これなら安心して任せられるし、他人に教えるのも上手いようなので存分に頼らせて貰おうと密かに思っていると、アズマ先生がどこか嬉しそうにドレッド先生に言った。


「先輩、楽しそうですね」

「そうか?」

「確かに楽しそうね。昔魔法を習い始めた頃くらいには死んでた顔が蘇ったわね」

「うるせいやい、このこの」

「ちょっ!乱暴に撫でるな〜!」


楽しげにじゃれ始めるドレッド先生とツンデレ先生。


こっそりとアズマ先生とアロエ先生に尋ねると、ドレッド先生がこうしてやる気になっているのは非常に珍しい上に、俺の話に乗ってノリノリなのは驚くべきことのようだ。


「先輩は意外と魔法については真面目なので」


アズマ先生曰く、それ以外はそうでも無いけど魔法関連に関してはやはりドレッド先生は頼りになるらしい。


そんな頼れる人がノリノリな様子なのは非常に良いことなのだろう。


「まあ、私達も気持ちは同じなんですけどね」


知らない知識やこれからの事にワクワクしてるのは自分たちも同じだとこっそりと笑うアロエ先生。


そうして、初日の擦り合わせや指導を終えたのだけど、意外と時間をかけてしまったなぁ。


フィリア達の元に早く戻らないと。


そう思いながら、俺は忙しそうな先生達に挨拶をしてから学園近くの喫茶店に向かうのであった。


















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