第4話 残り6時間。
「おーい、メイドよ」
「お呼びでしょうか王子?」
疲れたまま城に戻った俺が呼び出したのは、頼み事をしていて昨晩は不在だったメイドだ。
実はメイドというのは仮の姿で、諜報機関の出身だったりする。
「昨日までに頼んでいた件だが、アレ無しで」
「いきなりどうしました?頭打ちました?」
「俺はいつでも元気満々、自信満々だ」
「ふむ。確かに普段のバ……王子ですね」
おい、今バカって言いかけたか?
「金で下級貴族の令嬢を買収しましたが、取り消しでよろしいのですね?」
「あぁ。金は回収しなくてもいいから、代わりに何も喋るなと口封じしておけ」
「かしこまりました」
メイドに頼んでいたのは同じ学園に通っていた貴族令嬢達の口合わせだ。
婚約破棄の会場で、フローラ公爵家の不正を明るみにし、エリシア本人が学園でどれだけ評判が悪いのかを買収した令嬢達に言わせるつもりだった。
王子である俺からの頼みでもあったので、令嬢達はひとつ返事で受け入れ、全くの事実無根な事を言いまくとた。
おかげで俺は婚約破棄を達成して玉座についたのだが、この令嬢達が実に厄介で、買収された事を言いふらされたく無かったら側室にしろだの金を貸せだのと我儘放題だった。
そのせいで国の財政は傾き、世継ぎ争いも発生して貴族同士で内乱やっての革命コンボ。
「何も言わずに金が貰えるのだから不満も無いだろう」
「私の口でも上手く言いくるめますよ」
「期待しているぞ。期限は今晩までだから急いでくれよ」
非常にダルそうな顔をしたメイドをさっさと追い出して働かせる。
この時点でもう半日を切ったのだが、まだやるべき事があるから立ち止まってはいられない。
さて、次。
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