1時間耐久バトルシーン:ジャスティス&スカーレットちょっと模擬戦
風紀治安部第96支部。
その建物内の一室。シミュレーションルームに幾人か人影が存在した。
合計五人。
そのうち二人は世界政府のエージェント【ジャスティス&スカーレット】こと、
そして追加は二人の上司の魔女帽子の奇人
最後の一人は、たまたまここに来ていた普通の少女、
彼らが集まり、何をするかは単純だ。
────【ジャスティス&スカーレット】、その練習訓練試合。
要するに、模擬戦である。
◇
「二人のうち。どちらかが。相手の。胸のエンブレムを。奪ったら。試合終了だよ」
「ふーん、その程度でいいのかしら。なんならその奥のモノまで掴み取り要求でも構わないわよ?」
「抜かせ。貴様は僕に指一本触れられないことを予言して呉れる。それどころか、その指すら落としてくれる」
「はっはっは、二人とも元気だな!」
「が、我冬さんその反応でいいんですか!? これ模擬戦ですよね!?」
二人の物騒な挑発合戦に対して慌てる琉香を見ながら、熾遠は無表情のままかぶりを振って。
「あの人たちは。普段から。あんな感じだから」
マジかよ。と言わんばかりの琉香の顔。
それを笑って流しながら、我冬はシミュレーションのスイッチを入れ、
「それでは本日の一本勝負────始め!」
開戦の一言を言い放った。
◇
シミュレーションルームの中の世界が塗り替わる。
何もない真っ白な部屋に、色彩と物体が侵食していき、
「成る程、今日の舞台は密林ステージ。お互いに得意な舞台じゃない」
生い茂る巨木を見回して深紅は笑う。
「貴様のような野生児にはお似合いだな深紅」
「はっ、アンタもあたしも育ちは大して変わらないでしょ。
バトる土台を作ったとこは別だけど、ねっ!」
叫び、深紅は一気に踏み込んだ。
そして爆ぜるはロケット・スピード。最短最速一直線に、鏡夜の胸へ飛び込んでいく。
解りやすい疾駆はしかし、
「おおっとォ!」
急減速によりブレーキストップ。
停止の理由は単純明快、
「木々の間にワイヤートラップ。随分と動きが早いわね茜ちゃん!」
「だから僕の名前は竜鳳司鏡夜だと言っている。
貴様の単純性は弱点だ。最初の挙動が読みやすすぎる」
だから、
「このように、僕の仕掛けた罠にはまる」
一瞬だった。
深紅の両脇の木々が倒れ、その体を押しつぶすように倒れこむ。
停止を誘って二段構え。シンプルな知略のトラップはしかし、
「そんなこと、当然読めてたし対処の必要もこの通、り!」
もっとシンプル極まった、単純な暴力で打開された。
裏拳一発吹き飛ばし。深紅の拳は最強だ。幹の質量の一撃ですら、枝を払うのと変わらない。
拓けた視界の前を見て、そして深紅は口端をあげる。
「やっぱりか」
当然のように鏡夜は不在。
一瞬視界を塞いだ間に撤退し、追走戦へとステージを変える、
「と思わせといてそれはない。何故ならこの戦いは────」
攻めねば勝てない。
だから次の手もきっと攻撃。
姿を隠してやることと言えば、古今東西共通するはずその発想は、
「不意打ち────!」
叫ぶと同時、飛んで来た木槍を右手で払いのけそのまま回転。
背後から飛びかかってくるだろう鏡夜をそのまま吹き飛ばそうと勢いつけて、
「チィッ」
本命ではない木製デコイと解って舌打ちをする。
当然のようにはたき落としつつ次の行動の予測を開始。
(1時間ワンドロなのでここまでで一旦中断)
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