あお色

作者 マツムシ サトシ

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 他愛もない話へのコメント

     他愛のない話と言い切ってしまえるほど他愛がない話なのかもしれませんが、根底に流れている暖かさや優しさが端々で感じられる、柔らかな日差しのような掌編でした。
     一人称口語で語り手が話し続けるのですが、この語り手の口調が非常に聞きやすく、自然と耳を傾ける姿勢になりました。たぶんすごくいい人なんだろうな……とはじめの二段落くらいでよくわかります。話を聞くキミをスマートに褒める、これがあるとないとではまったくちがってくるので、とてもいい入りだと思いました。
     語られていくのは語り手の子供時代に関する思い出で、「神頼み、というか願掛けというか、綺麗な石が見つかるといいことがある気がしてね。」この文章におお、と驚きました。上手いです、個人的にはここが更に没入できた部分です。
     うまく説明できるかは不明なのですが、けっこう覚えのある感覚だったため、もしかすると語り手はかなりの田舎出身なのでは、とか、友人と遊ぶよりもひとりで宝物を見つけるような子供だったのか、などとバックボーンを更に想像させてくる文章だと思いました。ただこれは、私が似たような子供だったからかなとおもいます。
     なので、敢てなにかを言うのならもうちょっと語り手の情報があってもいいのかな、とは思いましたが、やりすぎるとうるさいですし……勝手に想像してもらう、くらいのスタンスで「どんなところ出身、あれは苦手だった」くらいの一言は入れても、深度が生まれたかもしれません。でも好みですね……忘れてください、このままで充分好きです。
     過去の描写において口語での一人称語りというのは、ともすればかなりくどくなりがちですよね……(ワイはお前に興味ないねんって顔をしてしまいます……)しかしこちらの掌編はさらっと読み通せるので、無駄の省き方がお上手に思います。
     あと、料理の描写が、すごくシンプルなのですが的確に美味しそうに見える単語を選ばれていたのが印象的でした。子供にとっての、宝物のようなご馳走、という描写にも、料理や童心に対する愛情のようなものが見えました。

     読みやすく、かつシンプルで、最後にふわっと未来の展望を感じさせるような終わり方と、日常の一コマを柔らかく書き出す筆致がとても素敵だと思いました。このあと川でプロポーズとかするのかな……なんだかそんな期待を抱く終わり方でした。
     勝手に嗅ぎ取った信仰要素は希望です。語り手にとって綺麗な石(に仮託されたなんらかの祈り)を拾うことは、過去の偶然も相俟って、希望そのものなのだなと思いました。

     最後になりましたが、企画が終了しているのに諦めずに書いていただき、まことにありがとうございました!!!読めてうれしかったです!

    作者からの返信

    書き手として多くを語るのは無粋かと思いますが、ひっかかりなく、さらっと読めて、暖かみを感じられるように、というのがせめてもの思いでした。
    企画が終わっている中、講評いただき誠に、誠にありがとうございました!
    ご指摘いただいた点に関しましては、今後の糧とさせていただきます!

    2020年12月12日 00:05 編集済