第392話 さんごくし


  

 

 ――勝てばみな、いくさは自分ひとりでしたように思い、

   負ければみな、負けた原因を他人に向けて考える。

 

 つい先ごろまでの自信満々をよそに、いまごろになって「実は自分も開催を不安に思い、眠れぬ夜もあった」などと急に保身に走る某会長、「イベントの人選は自分のあずかり知らぬこと」聞き苦しい弁明に奔る某事務局長、命を賭すかもしれない国民の同意も得ていないのに「挑戦が自分の役目」(本当は功名が目的でしょう?)などと言い放つ某政権トップに、吉川英治『三国志』の一節を重ねてみるカヨさん。


 何とか来日したものの、規定日数を隔離されて直前練習もままならない外国勢と、ホームの母国で練習三昧の日本チームでは明らかにアンフェアなことも含め、世界中に恥をばら撒いている五輪の置き土産の責任、だれが取るつもりなんだろうね、と。

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