第263話 たてまえ


 

 

 

 世界中の人がひとり残らず、早く外へ出たい、人と会っておしゃべりしたいとこいねがっているかのような報道に、ザラザラした違和感を抱いていたカヨさん。

 対人が苦手な自分は現況の方が好ましいという方のお話に、やっぱりね! と。


 マスメディアはその名のとおりマスの代表なのでしょうけど、あまり堂々と肩で風をきられると、いつも顧みられない少数派は、不本意な口を噤むしかなく……。


 まあ、でも、かつて参加していた行政や地方テレビ局の委員会などでも、少数派のカヨさんの意見が通ったことはほとんどなく、いまさらではありますが……。


 ただ、テレビ局の番組審議会の終了後、ふたりで乗り合わせたエレベーター内で審議委員仲間だった某地銀の頭取から「あなたの意見にいつも賛同していますよ」と打ち明けられたことはあります。お立場上、建前発言しかできないみたいで。

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